土地・不動産 2018.03.03

不動産を相続した場合の土地の登記について

遺産相続で土地を相続した場合は、所有権移転の登記を行う必要があります。しかし、この登記は義務化されていないため、期限も罰則もありません。登記には費用も必要なため、相続した土地を登記せずそのまま放っておく人もいます。

しかし、土地の登記をしないことにはたくさんのデメリットがあります。土地を相続した場合の登記の重要性とその手続き方法について、解説します。

記事ライター:棚田行政書士

土地を相続したら、まずは相続登記を

遺産の分割方法が確定したら、相続した財産のすべては速やかに名義変更する必要があります。

中でも特に重要なのが、土地など不動産の名義変更です。土地などの不動産を相続した場合には所有権移転の登記を行い、名義を相続人のものに変更します。

これは相続を原因とした登記なので、一般的には「相続登記」と呼ばれています。

土地を相続した場合の相続登記は義務ではありません。相続登記しないでおくことも可能ではあります。しかしいつまでも被相続人の名義のままでは、せっかく相続した土地も売却や担保設定ができません。

土地の相続登記をしないで放置しておくと、もし第三者が突然現れて「この土地の所有権は自分にある」と主張したとしても、対抗しにくくなります。

土地の相続登記を行っていないことで事実上は所有者がいないことになり、その土地の所有権は宙に浮いてしまっている状態になるためです。

さらに、土地を相続した相続人が亡くなり、次の相続が発生した場合には非常に面倒なことになります。相続登記が済んでいない土地も遺産分割の対象としなければならないため、次の相続の当事者が大変な思いをすることになります。

このように、土地の相続登記を行わないでおくことに利点は何一つありません。相続登記手続きが面倒と思うのも無理はないかもしれませんが、相続登記しないことで発生する問題の方がはるかに面倒になるでしょう。

ちなみに、土地の相続登記は遺産分割協議の成立前でも行えます。遺産分割協議には思いのほか時間がかかることも多いものです。相続した土地を、ひとまずは相続人全員の名義として相続登記しておくことも選択肢の一つでしょう。

 

土地を相続した場合の登記の手順

では、相続した土地の相続登記の手順をご紹介しましょう。

1.登記申請書を作成する

まずは、登記申請書を作りましょう。登記申請書はA4の用紙を用いて、自分で作成します。手書きでも、パソコンで作ったものでも可能です。

被相続人の死亡日や、土地を相続した相続人の住所氏名および押印、登記識別情報通知希望の有無や、相続登記する土地について記載します。

土地については、登記事項証明書の通りに記載し、課税価額は固定資産評価証明書の金額を記載します。

最寄りの地方法務局(登記所)へ出向くなら、登記申請書の書き方やその他の必要書類についても教えてもらうことができるでしょう。

登記申請書以外に必要となる主な書類は、次のものです。

  • 被相続人の出生から死亡までの記載がある戸籍謄本および住民票除票
  • 相続人全員の戸籍謄本および住民票
  • 遺言書(遺言による相続の場合のみ)
  • 遺産分割協議書(遺産分割協議による相続の場合のみ)
  • 相続人の印鑑証明書(遺産分割協議による相続の場合のみ)
  • 固定産評価証明書
  • 相続関係説明図(戸籍謄本などの原本の還付を希望する場合のみ

2. 法務局へ提出する

書類が揃ったら、相続した土地がある地域を管轄する法務局に提出し、登記申請します。相続した土地が遠方の場合などには、書留郵便による提出も可能です。ただし書類に不備があると、補正のために呼び出される可能性があります。

この時、土地の相続登記に必要な登録免許税も支払います。相続による登記の場合の税額は、不動産の価額の1,000分の4、遺贈による場合は1,000分の20です。銀行などから前もって入金するか、書類の提出の際に収入印紙によって納付することになります。

3.登記の審査

提出された書類をもとに、法務局の審査が始まります。この段階で、不備があると呼び出される場合あります。審査には通常1~2週間がかかります。

4.登記完了

問題がなければ、登記完了です。登記完了後には、登記完了証が交付されます。申請の際に希望した場合は、登録識別情報通知書も届きます。

登録識別情報は12桁の英数字から成るもので、権利に関する登記を行う際には本人確認書類として必要な情報となります。他人に悪用されるリスクもある重要な個人情報ですから、厳重に保管するようにしましょう。

 

まとめ

土地の相続登記の手続きは、決して難しすぎるものではありません。早く済ませておくに越したことはありませんので、土地を相続したら速やかに行いましょう。

なお、手続きの時間が取れない場合は、弁護士や司法書士に依頼することもできます。

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