土地・不動産 2018.05.04

土地とマンションを等価交換するメリット・デメリット

自分の土地にマンションを建てることで等価交換を行い、土地の資産価値を高めようとする人がいます。等価交換は、土地の所有者にとってはメリットが多いため、絶対に手放したくない大切な土地を持っている所有者には、魅力的な土地活用方法です。

今回の記事では、土地とマンションの等価交換をする際にぜひ知っておきたい、メリットとデメリットについて詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

土地とマンションを等価交換するメリット

1.税金が軽減される

等価交換後の土地の権利は、双方の持分に応じた区分所有になります。普通に土地を売却する際には譲渡所得税がかけられてしまいますが、等価交換の場合は税制優遇措置を受けられます。

2.土地を完全に手放すことなく住み続けられる

元々所有している土地にマンションを建てるので、土地を完全に手放すことなく住み続けることができます。

土地からマンションへ資産の形は変わるとしても、先祖代々受け継がれてきた大切な土地を完全に手放さずに済むことは大きなメリットです。

3.資金を負担することなく建物を建てられる

マンションの等価交換では、土地の所有者が土地を出資し、デベロッパーは建設費用を出資します。土地の所有者が借金をする必要はないため、賃貸物件や自分が住む新築物件を、資金を負担することなく確保できることになります。

持分割合にもよるところですが、土地の所有者は完成したマンション内の希望する場所に自分の住居を構えることができます。

土地とマンションの等価交換では、多くの場合、分譲用のマンションが建設されるため、建物自体の品質やグレードも一般の賃貸物件と比較して高くなります。最新設備の整った快適な新築マンションの好きな場所に自宅を確保できることは、大きなメリットです。

4.不動産収入を得られる

土地の所有者がマンションに住まない場合は、自分の持分を賃貸物件として貸し、不動産収入を得ることもできます。

場合によっては、土地の所有者が同じマンションに居住していない方が、何かと気が楽だと入居者に受け止められ、マンションの成約率が向上する場合もあります。

5.遺産分割が簡単になる

遺産分割の際、遺産に土地が含まれていると相続人同士がもめる可能性が高くなります。土地は均等に分けることが困難なためです。

土地にマンションを建設し、相続人となる子どもの人数分の部屋を確保しておくなどすれば、遺産分割の際に平等に分けることができます。土地とマンションの等価交換は、相続人の負荷を減らす資産運用でもあります。

 

マンションを等価交換する際のデメリット

土地とマンションの等価交換にはたくさんのメリットがありますが、幾つかのデメリットも存在します。

マンション内に、賃貸と分譲が混在することによるトラブル

すべての人に当てはまることではありませんが、賃貸マンションの入居者は分譲マンションの購入者に比べて、物件の管理品質が低くなる傾向にあるようです。

賃貸物件に住んでいる人にとっては、部屋は自分の所有物ではありません。何かあれば管理会社や大家に言えばよいという意識になるのも無理はないでしょう。部屋を大切にして住み続けるというよりは、何かあれば住み替えてしまおうという認識にもなります。

一方で、分譲マンションの購入者にとっては、マンションは自分の持ち家です。トラブルを避けて快適に生活していくためにマンションのルールを遵守したり、建物の維持管理にも積極的に協力したりすることが多いでしょう。

上記のような意識の差から、等価交換によって建設されたマンションでは、賃貸物件の入居者と分譲区分の購入者との間でトラブルが起きやすくなります。売り出しの際にも、等価交換マンションであることを理由に購入候補から外される可能性もあります。

土地が他人との共有となる

マンションの等価交換をすれば土地を完全に手放すことを避けられますが、その代わり、土地を他人と共有することになります。

マンションの中での自分の持分が多いとしても、等価交換をした以上、すべてが自分の土地であるかのように振舞うことはできません。

等価交換後は、デベロッパーの指示や提案をおとなしく飲まなければならない場合もあるでしょう。

用途を変更することは不可能

等価交換でマンションを建てた後は、簡単に土地の用途を変更することはできません。また、自分の持分だけを土地の形にして返して欲しいなどの要望も通りません。

土地とマンションの等価交換は、土地を他人の建物と交換したのであって、土地を一時的に貸しているのではないことを認識する必要があります。

 

まとめ

このように、マンションを等価交換することには、たくさんのメリットがあります。

しかし、入居者や購入者は、等価交換によって建設されたマンションであるということにデメリットを感じる場合があるため、等価交換を理由に敬遠されてしまう可能性もあります。

その点を踏まえたうえで、マンションを等価交換するかどうかを決めるようにしてください。

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