土地・不動産 2018.07.18
土地を相続した場合の固定資産税について
土地を相続した人には、維持費である固定資産税の支払い義務が発生します。土地の固定資産税は、土地の価値が高ければ高くなり、低ければ低くなります。
近年では、経済的な困窮によって相続した土地の固定資産税の支払いが負担になり、土地を放置する相続人も増えています。
ここでは、固定資産税とはどのような税金なのか、相続人未定の土地の固定資産税の支払いはどうしたら良いのか、固定資産税が支払えない時にはどうすれば良いのかについて、解説します。
相続した土地の固定資産税とは
固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)現在の土地や家屋および償却資産の所有者として登録されている人に対し、固定資産の価格をもとに算定される税額をその固定資産の所在する市町村が普通徴収により課税する税金です。
東京23区内においては、都税として都が課税をすることになっています。固定資産税の課税対象となる土地は、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の雑種地です。
固定資産税は、3年に1度「評価替え」が行われます。これは、簡単に言えば、価値の見直しです。
固定資産税は、固定資産の価値をもとに課税されるものです。土地などの不動産の価値は時間の経過とともに変動するため、本来であれば毎年評価替えを行い、適正な価格を算出するべきです。
しかし、現実問題として、国内の土地や家屋すべての価格を毎年見直すことは不可能です。地域ごとに異なる評価方法や基準がありますし、そのために割ける人手にも限りがあるためです。
そこで、土地と家屋の評価額については、据え置き期間を3年とし、3年に1度は評価額を見直すこととされています。これが評価替えです。平成30年現在、直近の評価替えは平成30年度に実施されています。
収益物件の土地の固定資産税について
相続した土地が貸駐車場などの収益物件であり、相続した相続人がその事業を引き継ぐ場合、土地の固定資産税についての扱いは、相続開始前の納税通知の有無によって変化します。
「相続開始前に納税通知が来た場合」の固定資産税から考えましょう。被相続人の準確定申告では、以下のいずれかの方法を選択します。
1. 固定資産税の納付状況に関係なく、全額を必要経費として算入
2. 納期限到来分の固定資産税のみ、必要経費として算入
3. 納付済みの固定資産税額を、必要経費として算入
相続人自身の所得税確定申告では、被相続人の準確定申告において、必要経費として算入していない固定資産税の金額を、必要経費として算入します。
では次に、「相続開始の後に納税通知が来た場合」の固定資産税です。この場合、被相続人の準確定申告では、固定資産税額を必要経費として算入することができません。
相続人自身の所得税確定申告では、以下のいずれかの方法を選択します。
1. 固定資産税の納付状況に関係なく、全額を必要経費として算入
2. 納期限到来分の固定資産税のみ、必要経費として算入
3. 納付済みの固定資産税額を、必要経費として算入
相続人が決まっていない土地の固定資産税は、誰が払う?
相続人は、被相続人の財産を受け継ぐだけでなく、債務や義務も受け継ぎます。固定資産税の支払い義務も例外ではありません。
土地を誰が相続するのかについて何も決まっていないとしても、固定資産税の支払い義務はひとまず相続人全員が負うことになります。
相続人全員が分担して支払うことになる固定資産税は、被相続人が亡くなった年の分、および遺産分割協議が成立するまでに発生した分です。
実際に土地を相続する相続人はこれらに加え、滞納されていた固定資産税や、相続完了後に発生する固定資産税の支払い義務を負うことになります。
土地の固定資産税が払えない!どうすれば良い?
土地の固定資産税を滞納すると、税金の滞納者として扱われます。そのため、相続人の銀行預金や給与、自宅などの財産が差し押さえられる可能性が出てきます。
土地が差し押さえられた場合には、土地の登記上に「差押」の表記が付きます。滞納が解消してもこの表記は消えないので、土地が差し押さえられるような事態は何としてでも避けるべきです。
土地の固定資産税が払えない可能性があるなら、早めに売却を検討しましょう。納税額以上の価格で売却できる可能性もあります。どうしても売却したくない土地の場合は、税務署へ納税相談をし、分納や延納を認めてもらえないか交渉してみましょう。
まとめ
相続財産に土地があるなら、固定資産税の支払い義務は相続人に移行しています。遺産分割協議が成立するまでは、固定資産税について、相続人全員が連帯責任を負っている状態です。間違っても、通知や督促を無視し続けるようなことはしないようにしましょう。
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