土地・不動産 2018.08.19
相続した不動産の登記を変更する流れと、必要書類について
不動産を相続した人は、相続した不動産の名義の自分のものに変更する登記手続きをしなくてはなりません。
被相続人名義の不動産の権利証は無効なため、不動産の登記を変更しないと、いつまでも所有者としての権利行使ができません。不動産の登記は速やかに変更し、有効な権利証を得なければなりません。
不動産の登記変更は「相続登記」とも呼ばれています。今回は、不動産の登記変更の流れや必要書類についてチェックしてみましょう。
相続した不動産の登記を変更しなければならない理由
相続手続きの中でも、不動産登記の変更にかかる面倒はトップクラスです。そのため、何かと後回しにされがちな手続きになります。
しかし、不動産は被相続人の財産の中でも特に高額なものである場合が多く、金銭的価値に換算すれば数千万単位になることも少なくありません。
不動産は物なので、その金銭的価値を認識することはそれほどないかもしれませんが、財産としての価値の大きさを考えると、決して金融資産に劣るものではないはずです。不動産の登記変更も、優先的に着手する必要があると言えるでしょう。
冒頭で述べたように、不動産を被相続人名義のままにしておくなら、所有者不在の不動産が放置されることになり、その不動産に対して誰も権利を持っていないことになります。
相続人も、所有権を持っていない以上は不動産を相続した意味がありませんから、不動産の登記変更は必ず行うべきです。
相続した不動産の登記を変更する際の流れ
では、不動産の登記を変更するためのおおよその流れをご紹介します。
1. 不動産の登記変更の必要書類を準備
まず、不動産の登記変更に必要な書類を集めなければなりません。不動産を相続することになった理由ごとに、必要な書類は変わります。書類については、後に詳しく説明します。
2. 不動産の登記変更を申請
不動産の所在地を管轄する法務局へ、登記申請書と必要書類を提出します。直接出向いても、郵送でも提出できます。
3. 不動産の登記変更の完了
登記内容や書類に問題がなければ、申請から1~2週間ほどで登記完了証を手にすることができます。これで、不動産の登記変更は完了です。
遺言書がある場合の不動産登記変更で必要な書類
被相続人が遺言書によって指示した内容に従って遺産分割した結果、不動産を相続することになったなら、不動産登記変更には、以下の8種類の書類が必要です。
・登記申請書
・相続関係説明図
・被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
・被相続人の住民票(除票)
・不動産を取得する相続人の戸籍謄本
・不動産を取得する相続人の住民票
・遺言書
・固定資産税評価証明書
登記申請書は申請者自身が自由に作成できるものです。A4サイズの用紙であれば、直筆またはパソコン入力のどちらでも作成可能です。
相続関係説明図も、申請者自身が作成します。被相続人と相続人の関係が分かる図になっていれば、厳密な図でなくても構わないものです。
戸籍謄本などの原本は他の手続きでも使い回しが利くものですが、原本を返却して欲しい場合には相続関係説明図の提出が必要です。できる限り作成しておきましょう。
次に、被相続人の戸籍謄本として、被相続人の死亡の記載があるものを用意しておきます。不動産を相続する人の戸籍も被相続人の戸籍と一緒の場合は、戸籍謄本は1通のみ用意すれば良いとされています。住民票については、被相続人のものとは別に用意しましょう。
遺言書によって相続するので、遺言書の提出も必要です。遺言書が公正証書遺言ではない場合は、家庭裁判所での検認を受けたかどうかを確かめ、まだであれば先に検認を受けておきましょう。
最後の必要書類は固定資産税評価証明書ですが、これは都税事務所または市町村役場の税務課で発行してもらえます。
遺産分割協議による不動産登記変更で必要な書類
遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割方法を決めます。遺産分割協議による不動産登記変更では、以下の9種類の書類が必要です。
・登記申請書
・相続関係説明図
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・被相続人の住民票(除票)
・相続人全員の戸籍謄本
・不動産を取得する相続人の住民票
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
・固定資産税評価証明書
前述の遺言書のケースと異なる書類は、被相続人の一生分の戸籍謄本、相続人全員分の戸籍謄本と印鑑証明、遺産分割協議書です。
遺産分割によって取得した不動産の登記変更では、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要書類となります。
また、他の相続人も不動産の登記変更について同意していることを証明するため、遺産分割協議書に加え全員分の戸籍と印鑑証明が必要です。
まとめ
不動産の登記変更は、相続することが決定したら、できるだけ早めに終了させましょう。時間が経てば経つほど、リスクも大きくなっていきます。変更手続きのための時間が取れない場合には、司法書士へ手続きを委任して下さい。
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