土地・不動産 2018.09.19

こんな土地は相続しない方がいい!3つのケースを紹介

土地を持っている=お金持ち、と考えられていたのはひと昔前までのことです。国内の一部地域を除き、土地の需要は低迷の一途をたどっています。

そのため、相続してもメリットがないばかりか、相続人にとって迷惑にしかならないような土地があふれている現状が見られます。先祖が代々守ってきた土地だとしても、自分の子供や孫の世代のことを思うと、思い切って相続しないことにした方が良い土地もあるでしょう。

そこで今回は、土地を相続しない方がよい3つのケースについて解説します。

記事ライター:棚田行政書士

土地の相続にかかる費用と責任

土地を相続する場合は、相続税と登録免許税がかかります。土地の評価額が低ければ相続税は非課税の場合もありますが、登録免許税は必ずかかる費用となります。

さらに、相続した土地を保有している限り、固定資産税や都市計画税が毎年かかります。どちらの税金も土地の評価額に影響されますが、相続人にとって利用価値のない土地であっても、評価額だけは高いというケースもあり、無視できない費用です。

加えて土地の所有者には、自分の土地の管理責任があります。例えば、ゴミを置かない、雑草を処理するなどの常識的な範囲で土地を綺麗に整えておき、不法投棄や放火などを誘発しない状態にしておく必要があるでしょう。

もし、所有する土地で何らかのトラブルが発生すれば、所有者として管理責任を問われる可能性もあります。

一例として、土地が何らかの理由で危険な状態にあるにも関わらず、柵や看板などを一切設置していないために、子供が中に入って遊び、ケガをしたとします。

この場合、勝手に土地に立ち入った子供が悪いという主張は難しいでしょう。このようなケースでは土地の所有者として、危険な状態を早く解消するか、それを知らせるための処置を講じることで管理責任を果たすべきとされ、損害賠償責任を負う可能性は高いと思われます。

このように、土地を相続することには、費用面や社会的責任という大きな負担が伴います。よく考えて、相続しても良い土地か、しない方が良い土地かを決定しなければなりません。

 

相続しない方が良い土地1:用途の制限された土地

土地は土地でも、著しく用途が制限されているものがあります。例えば、山林などです。

先祖が代々守ってきた山林があるものの、自分が林業をしているわけではないという場合は、最低限の維持管理だけでも相当な苦労が伴うでしょう。

広大な山林を歩き回ってゴミの撤去や間伐をすることは、プロでなければ厳しい作業です。ただし、この場合は、もし売却先の見当がついているのであれば、相続した方が良いでしょう。

生えている木の品種が需要の高いものであったり、まっすぐ伸びた健康な木がたくさん生えていたりするのであれば、建設会社や製紙会社などの企業がまるごと買い取ってくれる見込みもあります。

しかし現実には、土地の買い手を自力で探すのは至難の業です。最初から、自分で交渉しないで山林の取引実績を持つ不動産業者に依頼してみる方が、何かと効率が良いでしょう。

他にも、農地や牧場など、基本的に他の用途には使用できないような土地は、相続した人にとってメリットは少ないかもしれません。

どうしても買い手が見つからない場合は、市町村に問い合わせを行い、引き取ってもらえないか相談してみることもできるでしょう。

 

相続しない方が良い土地2:共有されている土地

名義人が複数いる共有状態の土地は、ありがたくない相続財産の代表格です。土地の共有者の相続では、相続人は共有状態の土地についても遺産として扱い、相続しなければなりません。

共有者それぞれが自分の相続人へ共有持分を相続させていくとなれば、時間が経つほどに権利関係は複雑になっていきます。

共有されている土地は、土地としての価値をほとんど持ちません。共有者は自分の共有持分を自由に処分できますが、共有持分だけを買い取る不動産業者は数少ない上、利用価値が低いため、二束三文になる可能性が高くなります。

それでも土地の共有者である以上、責任や費用負担だけは確実について回ります。

共有されている土地を相続しないわけにいかない場合は、共有持分の買い取りに特化した不動産業者を探して売却するか、共有持分を放棄して他の共有者へ割り振るかのどちらかを選択することになるでしょう。

相続しない方が良い土地3:市街化調整区域の土地

市街化調整区域とは、無秩序な開発を防ぎ、計画的な市街化を図るために都市計画法によって定められた区域です。多くの場合は、建築物の密度が低い地域に指定され、原則として住宅などを建築することができません。

住宅も建てられない上、開発が抑止されている地域ということは、利便性や今後の地価上昇は望めないことになります。

自分が家を建てて住むこともできない、需要がないので貸すことも売ることもできないという、利用価値が著しく低い土地の可能性があるのです。

 

まとめ

相続しない方が良い土地でも、誰かが相続しなければ相続は終わりません。相続放棄できる状況なら良いですが、土地以外の財産を相続したい場合には安易に放棄することはできないでしょう。相続しない方が良い土地を相続してしまったら、早めに手放す方法を模索すべきです。

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