土地・不動産 2018.10.21

土地の相続で、遺言を作っておいた方が良いケースとは?

財産に土地を持つ人は、自分の土地が相続される時に備えて遺言を作っておくことが強く勧められています。土地や建物などの不動産は、多くの相続で問題のタネになってきました。
土地の相続については、相続人同士で仲良く話し合ってくれるはずだと思いこんで遺言しなかったために、その人の相続がその後、何年、何十年と続く争いのスタートとなってしまうこともあります。
土地を持っているかに関係なく、遺言はすべての人が作っておくべきものですが、土地の相続で特に遺言が重要になる5つのケースがあります。早速考えていきましょう。

記事ライター:棚田行政書士

土地に関し、相続人同士での協議が成立する見込みが薄い

遺言がないと、相続人同士での遺産分割協議をもとに遺産分割を進めなければなりません。

遺言のない遺産分割協議は非常に厄介なもので、誰もがうらやむほど仲の良かった家族であっても、遺産分割協議を機に険悪ムードになり、互いの顔を見るのも嫌というほど憎みあうこともあります。

特に、土地という非常に分割しにくい財産が含まれる相続では、どんな家族でもひどいもめ方をしてしまう可能性があるのです。

生前から仲が悪い家族であればなおのこと、土地を含めた遺産分割協議が成立する見込みは低いでしょう。相続人だけではこれ以上どうにもできないところまで争ってしまうと、最終的には裁判をするしかなくなります。

裁判をすれば、強制的に土地を含めた遺産分割を終了できますが、当事者となる相続人の間に埋めようのない溝ができることは言うまでもありません。

遺言さえあれば、家族を裁判沙汰に巻き込んで余計な心痛を残すこともないでしょう。相続財産の分割について、細かく指示した遺言を用意しておく必要があります。

 

特定の相続人にだけ、土地や多額の財産を相続させたい

遺言の有無に関わらず、相続では相続人によって財産の量や種類が多少異なるとしても仕方のないことです。しかし、場合によっては、著しい差が付いてしまうケースもあります。

例えば、事業を継いでくれる子供に土地も会社も相続させるものの、他の子供にはわずかな預金しか相続させられないこともあります。配偶者の老後を考えて、配偶者にだけ自宅と土地を相続させたい場合もあるでしょう。

相続人の相続財産に偏りが生じる場合は、そうする理由を詳しく遺言に明記しておきましょう。狙いは、土地を相続できない、または相続財産が少ない相続人が、遺言によって納得してくれることです。

なお、どんな遺言も遺留分を侵害する法的権利は持ちません。土地や多額の相続財産を受ける相続人が遺留分を請求されることのないよう、遺留分に配慮した内容の遺言にしておきましょう。

 

内縁の配偶者に土地を相続させたい

相続では、法的な夫婦かどうかが重視されます。生活実態が夫婦同様であっても、何十年一緒にいるとしても、内縁の配偶者の場合は1円も相続できないのです。内縁の配偶者に土地や相続財産を分けたいのなら、遺言を残すしか方法はありません。

なお、本来は相続人になり得ない内縁の配偶者が土地などの相続財産を得る場合は、土地の相続税や登録免許税などの税金が割り増しされます。遺言するだけでなく、土地に関係した納税資金についても考えておく必要があるでしょう。

 

被相続人に子供がいない

被相続人に子供がいない場合、遺言は非常に大切です。子供がいないのだから、遺言しなくても配偶者に全財産が渡るのではと考えている方もいますが、それは間違いです。

子供がいない場合は、被相続人の両親や祖父母、もしくは被相続人の兄弟姉妹が配偶者と一緒に相続人となるからです。遺される配偶者が夫であるにしろ、妻であるにしろ、配偶者の両親や兄弟姉妹とお金や土地のことを話し合うのは気まずいものです。

遺言で、配偶者に全財産を相続させると指示しておけば、配偶者を守ることができます。なお、被相続人の両親や祖父母には遺留分がありますが、兄弟姉妹にはありません。

 

被相続人に、以前の結婚でもうけた子供がいる

子供は、前の結婚でもうけた子供でも相続人になるため、以前の配偶者との間に子供がいる場合は、必ず遺言をしておきましょう。

遺言しておけば、以前の配偶者との子供に土地を相続させることもできます。また、土地を渡すつもりがないとしても、その子にも子供としての遺留分がありますから、どのみち相続には参加してもらわなければなりません。

遺された配偶者や子供は、前の配偶者の子供とは面識がないことがほとんどでしょう。身元も連絡先も分からない相手を探すのは骨の折れることです。家族に余計な負担をかけないためにも、遺言に情報を載せておきましょう。

 

まとめ

たたでさえもめることの多い土地の相続では、土地を相続させる人が有効で的確な内容の遺言を作っておくことが絶対に必要です。遺言は自分ひとりで手軽に作ることもできますが、法的に有効な遺言になっている必要がありますから、専門家に依頼して作るのが一番確実です。

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