土地・不動産 2018.12.14

土地の相続で活用したい「代償分割」とは?

相続の際、遺産の中に土地がある場合、土地を相続人同士でうまく分けられないという問題が発生しがちです。今回は、土地の相続の際の問題を解決する「代償分割」という方法について説明します。

記事ライター:ゆらこ行政書士

相続した土地がうまく分けられないときは代償分割を検討

遺産分割には3つの方法がある

亡くなった人の遺産を相続人の間で分配するのが遺産分割です。遺産分割には、現物分割、換価分割、代償分割という3種類の方法があります。

①現物分割

遺産をそのままの形で分配する方法です。Aが土地、Bが建物、Cが預金というふうに、各相続人が遺産の現物を取得するのが現物分割です。

②換価分割

遺産を売却して換金し、現金を分ける方法です。現物のままだと分けにくい場合でも、換価分割をすれば公平に分けることができます。

③代償分割

遺産の現物を取得する人が、他の相続人に金銭(代償金)を支払うことで、各相続人の取得額を調整す

る方法を代償分割といいます。現物をどうしても欲しい相続人がいる場合には、代償分割が有効です。

土地の共有は不都合が多い

遺産が土地のみで、相続人が何人もいる場合には、土地を分けるわけにはいかず、もめてしまいがちです。土地を共有にする方法もありますが、土地を共有すればいろいろと不便なことがあります。

たとえば、共有の土地を売りたい場合、共有者全員が合意しなければ売ることができません。土地を担保にする場合も同様で、共有者全員の意見を一致させる必要があります。

相続した土地を共有にすることは、問題の先送りでしかありません。遺産分割でもめないように土地を共有にしても、結局土地をどう活用するかで、もめてしまうことになります。

代償分割すれば問題が解決することがある

相続した土地を代償分割することで、遺産分割がスムーズに進むことがあります。土地を売却して換価分割するという方法もありますが、先祖代々受け継いだ土地などは、簡単に手放すことができないでしょう。

代償分割では、特定の相続人に土地という現物を相続させ、他の相続人は相続分に相当する金銭を受け取ることになります。土地をもらえなくてもお金をもらえればいいという相続人も多いはずですから、もめることなく遺産分割ができる可能性があります。

 

土地の相続で代償分割をするための条件

相続人全員が代償分割することに合意している

遺産分割の際には、相続人全員の意思を一致させる必要があります。土地を取得したい相続人が、「他の相続人に代償金を支払う」と言って代償分割を要求しても、他の相続人が同意しなければ、代償分割はできません。

土地そのものが欲しいという相続人は1人とは限りません。土地を取得したい相続人が何人もいる場合には、代償分割は難しくなってしまいます。

土地を取得する人が代償金を支払うことができる

代償分割を行うには、土地を取得したい人が、他の相続人に対し、相続分に相当する額の現金を支払う必要があります。土地を取得したい人に支払能力がなければ、代償分割は困難になってしまいます。

代償金を一括で用意できない場合には、分割で支払うという方法もあります。しかし、分割払いでは確実に支払われる保証がないため、他の相続人の同意を得にくくなってしまいます。

代償金の金額に相続人全員が納得している

代償分割では、代償金の金額が決まらないこともあります。遺産分割の際に土地をどのように評価するかについては、明確な決まりはありません。

土地をどう評価するかによって代償金の額は変わりますから、代償分割には合意していても、土地の評価方法でもめてしまうこともあります。

 

土地の相続で代償分割を選ぶ場合の注意点

遺産分割協議書に代償分割である旨を明記

土地を代償分割する場合には、土地を取得した相続人から他の相続人へ金銭の受け渡しを行うことになります。この金銭の受け渡しが、贈与であるとして、贈与税が課されてしまう可能性があるのです。

贈与税の課税を避けるために、遺産分割協議書には、代償分割の代償金であるということを明確に記載しておく必要があります。

たとえば、「相続人Aは、相続人Bに対し、○○の土地取得の代償として、金1,200万円を支払う」のように記載しておくとよいでしょう。

代償分割した場合の相続税

代償分割する場合、相続税がかかるケースでは、課税価格の計算方法に注意しておきましょう。代償分割では、代償金も相続税の課税対象になります。

遺産が土地のみで代償分割をした場合、土地を取得した人の課税価格は、土地の評価額から支払った代償金額を差し引きした額になり、代償金を受け取った人については、代償金の額が課税価格になります。

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