土地・不動産 2018.12.28
不動産を相続する権利があるのは誰?
人が亡くなると、その人が持っていた不動産、預貯金、貴金属などの財産は相続の権利のある人に引き継がれます。そのため、遺された財産が多いと、相続する権利を巡って親族が争うこともあるでしょう。
しかし、相続する権利を持つのは一部の親族のみです。そこで今回は、不動産などの財産を相続する権利があるのは誰なのか、詳しく解説していきます。
不動産相続の権利を持つのは、一定範囲の親族
被相続人の不動産や預貯金などを相続する権利を持つ人が誰なのかは、遺言書があるかどうかによって変わるでしょう。遺言書で指定されていれば、遺留分を侵害しない範囲において、不動産等の財産を取得する権利は、その人にあります。
遺言書がない場合には、民法で定められた範囲の親族が相続人です。民法上の定めに従って相続人となる人を、法定相続人とも呼びます。不動産等を相続する権利を得られるのは、以下の親族です。
・被相続人の配偶者
・被相続人の子供
・被相続人の親
・被相続人の兄弟姉妹
注意したい点として、上記のすべての人が、同時に相続の権利を得るわけではありません。ここからは、それぞれの権利について、より具体的な点を解説しましょう。
1.配偶者の権利
配偶者は、配偶者相続人といい、相続において必ず相続の権利を得ます。被相続人に配偶者がいるのに相続人にならないということは原則としてありません。
配偶者は、子供や親、兄弟姉妹など他の相続人と一緒に相続を行います。そのため、考えられる相続人の組み合わせは、配偶者、子供、配偶者、親などです。ただし、内縁の配偶者は相続の権利を持たず、法律上婚姻している配偶者である必要があります。
2.子供の権利
被相続人の子供は、民法で第1順位の相続人とされており、配偶者と同様に最優先で相続人になる親族です。被相続人の実子以外に、養子や非嫡出子も子供として相続の権利を持ちます。
3.親の権利
被相続人の親は、民法における第2順位の相続人です。被相続人に子供がいない場合にのみ、相続の権利を得ます。
4.兄弟姉妹の権利
被相続人に子供も親もいない場合にだけ、第3順位の兄弟姉妹が相続の権利を得ます。これらの相続人のことを、配偶者相続人に対して、血族相続人といいます。
一定範囲の相続人には、最低限の相続分を受け取る権利がある
遺言があれば、基本的には遺言の通りに不動産等を分けることになります。しかし、不動産や他の財産すべてを赤の他人に譲るなどの極端な内容の遺言が遺された場合に、その通りになってしまうのは理不尽です。
遺族が今も住んでいる不動産が、他人の手に渡るようなことがあれば、遺族の生活が危うくなるでしょう。そこで民法では、一定範囲の相続人に限り、相続財産のうち最低限受け取ることのできる相続分を定めています。それが「遺留分」と呼ばれるものです。
遺留分があるのは、以下の相続人になります。
・配偶者
・子供
・親
遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に保証されている権利です。もし、遺留分が侵害されるようなことがあれば、侵害している相手に遺留分を請求することによって、財産を取り戻せます。
相続人以外が不動産を取得可能なケース
被相続人が遺言によって、不動産等の特定の財産を相続人ではない人に譲ると指示している場合があります。その遺言が有効なものであれば、相続人ではない人が不動産等を取得することが可能です。
遺言で不動産等の財産を贈与することは「遺贈」と呼ばれ、遺贈によって不動産等の財産をもらう人のことは「受遺者」と呼びます。
遺贈でよくあるケースは、介護をしてくれた嫁や世話になった友人に、財産の一部を譲るというものです。遺贈は人物以外へも有効なので、ひいきにしていた会社や慈善団体などへ不動産を譲る被相続人もいます。
相続人でも、相続の権利を失うことがある
配偶者や子供は、相続において最も優先される相続人です。しかし、相続人としての権利は、どんなことがあってもなくならないというものではありません。
相続人の言動によっては、不動産や他の財産を相続する権利が剝奪される可能性があります。相続の権利を失う理由は、おもに以下の2つです。
・相続人の廃除
・相続欠格
1.相続人の廃除
被相続人が、自分の意思で特定の相続人の権利を取り消すことを、相続人の廃除と言います。相続人の廃除は、被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てるか、遺言によって意思表示をしておくことで実行できます。
相続人の廃除は、それが適当と認められる場合にのみ成立します。
例えば、被相続人に殴る蹴るの暴行を日常的に加えたことや、被相続人の私的な事柄を暴露して名誉をひどく傷つけたことなど、著しい非行の事実があれば、廃除が認められるでしょう。
2.相続欠格
本来は相続人になる人が社会的正義に反する行為をした場合には、被相続人の意思とは無関係に相続の権利を失います。具体的には、以下のような行為があると相続欠格となる可能性があります。
・被相続人や相続人を殺害した、または殺害未遂をした
・被相続人が殺害されたことを知りながら、告発しなかった
・詐欺や脅迫によって遺言書の作成を妨害した
・遺言書を偽造した
まとめ
相続が発生した際に行う相続人の確認は、そのあとに続く遺産分割や相続税申告にも直接影響してくるため、間違いのないように、慎重に進めることが大切です。
また、不動産を持つ人は、遺言書を作成しておくことで、遺産分割におけるトラブルを防止することができます。遺言書を作成する際には、法的に有効な遺言書を作成する必要がありますので、専門家に指導してもらいながら作成することをおすすめします。
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