土地・不動産 2019.02.20
不動産の相続で委任状が必要になるケースとは?
不動産を相続したら、相続登記を行って不動産の名義を変更します。今回は、不動産の相続手続きで委任状が必要になるケースについて説明します。不動産の相続手続きで使う委任状を作成する際の注意点も同時に知っておきましょう。
不動産の相続手続きを代理人に頼むなら委任状が必要
不動産の相続手続きは法務局での相続登記
不動産の相続が発生したときには、不動産の所有者名義を変更するために、法務局で相続登記をします。相続登記は不動産を取得する相続人が申請人となって行います。
相続登記を代理人に依頼する場合には2パターンある
不動産を取得する相続人は、自分で相続登記を申請する以外に、代理人に依頼する方法があります。相続登記を代理人に依頼すれば、登記申請書の作成や提出、登記完了時の登記識別情報の受け取りなどを任せることができます。
相続登記を代理人に依頼する場合には、通常、次のどちらかになります。
①相続人の代表者に代理で手続きしてもらう
複数の相続人が一緒に不動産を相続し、不動産を共有にするときには、不動産を相続する相続人全員が申請人になります。この場合、必ずしも相続人全員で申請手続きをする必要はなく、他の相続人(相続人の代表者)に手続きを任せることができます。
相続人の代表者に申請手続きをしてもらう場合には、相続人の代表者宛の委任状を書く必要があります。相続登記の委任状に決まった書式はありませんが、必要事項をもれなく記載しておかなければ受け付けてもらえませんから注意しておきましょう。
②司法書士に代理で手続きしてもらう
法務局での登記申請の手続きを依頼できる専門家は、司法書士になります。司法書士には、有料で相続登記の申請の代理人になってもらえます。
司法書士に相続登記の代理人を依頼する場合には、必要書類の取り寄せからすべて任せられます。司法書士は法律知識をもった専門家ですから、二次相続や三次相続が発生していて権利関係が複雑になっているケースにも対応してもらえます。
司法書士に代理人を依頼した場合には、司法書士から委任状の書式を渡されます。受け取った委任状に署名、押印して司法書士に返せば、不動産の相続手続きを進めてもらえます。
法定代理人が不動産の相続手続きをする場合には委任状は不要
不動産の相続手続きを代理人がするときに、委任状が不要なケースがあります。法定代理人が不動産の相続手続きをする場合には、本人が委任状を書く必要はありません。
法定代理人とは法律上、代理権があるとされている人で、次のような人が該当します。
①申請人が未成年者の場合→親権者
未成年者の法定代理人は、原則として親権者になります。申請人が未成年者で、親権者が代理で登記手続きを行う場合には、委任状は必要ありません。登記申請書には、委任状の代わりに戸籍謄本を添付して、代理権があることを証明します。
相続登記の前提として遺産分割協議が必要なケースで、親権者と未成年者の両方ともが相続人ということがあります。この場合、双方の利益が相反するため、親権者は未成年者の代理人になれず、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります。
遺産分割協議のために特別代理人が選任された場合には、不動産の相続登記手続きも特別代理人が行います。登記申請書には、代理権を証明するための書面として、委任状ではなく特別代理人選任審判書を添付します。
②申請人が成年被後見人の場合→成年後見人(任意後見人、法定後見人)
申請人が認知症などで、自分で相続登記の手続きができない場合には、成年後見人が代理人として登記申請を行います。この場合には、委任状ではなく、成年後見の登記事項証明書を添付して代理権を証明します。
不動産の相続手続きで委任状を作成する際の注意点
不動産の相続手続きをするために、委任状を作成するときには、次のような点に気を付けておきましょう。
不動産の表示を正確に書く
委任状には、どの不動産の相続手続きを委任するのかを明記しなければなりません。不動産を特定するために、不動産の表示を正確に記載します。
不動産の表示は、登記事項証明書で確認できます。相続する不動産の登記事項証明書を必ず取得し、証明書どおり、間違えないように不動産の表示を書きましょう。
何を委任するのかを書く
委任状は、具体的に何を委任するのかが書かれていなければ、意味がないものとなってしまいます。「下記の相続登記申請に関する一切の件」と記載し、登記原因(○年○月○日相続)や被相続人の氏名、相続人の氏名、住所などを書いておきましょう。
相続登記の委任状は実印でなければならない?
相続登記の委任状を作成するときには、実印でなく、認印でもかまいません。ただし、遺産分割協議書には実印を押す必要があります。
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