土地・不動産 2019.04.02
ハワイに不動産を持っている人が亡くなったら相続手続きや相続税はどうなる?
相続が開始すると、相続人は亡くなった人(被相続人)の所有していた財産を引き継ぎます。ところで、被相続人がハワイにコンドミニアムのような不動産を所有していた場合には、相続手続きはどうなるのでしょうか?ここでは、日本人がハワイで不動産を所有していた場合の相続手続きや相続税の概要を説明します。
被相続人がハワイで所有していた不動産の相続手続きは?
ハワイの不動産にも日本の法律が適用される
被相続人が日本人の場合には、たとえ所有している財産が海外にあっても、相続手続きは日本の法律にもとづいて行うことになります。
民法など、私法領域の国際的な準拠法のルールを定めているのが、「法の適用に関する通則法」という法律です。この法律によると、「相続は、被相続人の本国法による」(36条)とされています。
ハワイの不動産も含めて遺産分割協議を行う
日本では、相続人全員で遺産分割協議を行って、遺産の分け方を決めることになります。遺産分割協議では、ハワイの不動産を除外する必要はありません。ハワイの不動産についても、他の財産と合わせ、遺産分割協議で誰が相続するかを決めます。
遺産分割協議では、原則的に法定相続分に従って財産を分けます。遺産分割を行うためには、相続財産全体の評価額を出さなければなりません。ハワイの不動産の評価額については、現地の不動産会社などに査定を依頼するようにしましょう。
ハワイの不動産の名義変更は簡単ではないことがある
日本の不動産の場合には、法務局で相続登記を行って、相続人への名義変更を行います。相続登記は、戸籍謄本や遺産分割協議書などの必要書類を添付して提出すれば可能です。
一方、ハワイの不動産については、遺産分割協議書があるだけでは、名義変更手続きがスムーズに進まないことがあります。
単独名義ならプロベートにより手続きが複雑になる
アメリカでは、不動産が単独所有である場合には、裁判所が介入して手続きを行います。この手続きを「プロベート」と言います。
プロベート手続きでは、日本の戸籍謄本に英訳文を付け、公証人の認証を受けて相続証明を提出する必要があります。プロベート手続きには、数年がかかることもあるため、注意が必要です。
ハワイの不動産も、プロベート手続きの対象です。プロベート手続きが終わるまでは、不動産を売却等して処分することもできません。
ハワイの不動産について、プロベートが必要になる場合には、現地の専門家にサポートを受けた方がよいでしょう。
不動産の名義によってプロベートが不要になることも
ハワイの不動産をジョイントテナシー(合同保有)という共有に近い形式にしていれば、相続の際にプロベート手続きが不要になります。相続の際には、合同保有者がそのまま不動産を引き継ぐことができるからです。
ハワイの不動産を購入するときには、相続のときのことも考えて対策をしておいた方がよいでしょう。
被相続人がハワイで所有していた不動産には相続税はかかる?
日本人がハワイに所有している不動産にも日本の相続税がかかる
日本の税法では、日本の居住者が所有している財産であれば、海外にある財産に対しても課税される扱いになっています。ハワイに不動産を持っている日本人が亡くなった場合には、日本の税務署にも相続税の申告が必要です。
なお、日本で相続税の申告義務があるのは、相続財産の額が基礎控除額を超える場合になります。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
ハワイの不動産も含めて相続財産の額がどれだけになるかを算出し、基礎控除額を超えるかどうかを判断します。
被相続人がハワイの不動産を残していればアメリカの遺産税もかかる
被相続人がハワイに不動産を持っていた場合、アメリカの遺産税の課税対象にもなります。アメリカの遺産税は、非居住者については、アメリカにある財産のみに課税されます。
なお、日本とアメリカとで二重課税されるのを回避するため、租税条約にもとづき、外国税控除が可能です。外国税控除を受ける手続きについては、税理士に相談するようにしましょう。
ハワイの不動産の相続税評価額はどうなる?
相続税を計算するとき、日本の不動産は、路線価や固定資産評価額で評価します。相続税評価額は時価よりも2~3割安いので、不動産を購入するだけで、相続税の節税が可能です。
一方、ハワイの不動産については、路線価等で評価することができません。ハワイの不動産は、時価で評価することになります。
ハワイの不動産の評価額は、現地の不動産会社に査定を依頼して出してもらわなければなりません。複数社に査定額を出してもらうことで、適正な評価額を証明できるようになります。
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