遺言 2017.10.03

遺言状の保管場所は?自宅以外の場所に保管しても大丈夫?

自筆証書遺言は、最後まで自分で責任を持って保管しなければなりません。しかし、遺言状の保管場所は大変悩ましい問題です。適当に保管したために、死後に遺言状の偽造・変造が問題となり、争いに発展するケースも少なくありません。

したがって、確実に自分の意思を相続人に伝えるためには、保管場所も重要になってきます。今回は、自分で遺言状を作成・保管する場合の保管場所について解説します。

記事ライター:nexy編集部

遺言状の存在はオープンにしておくべきか

保管場所を考える前に「そもそも遺言状の存在を家族に知らせるべきか」が問題になります。もし、家族が遺言状の存在・場所・内容を知っていれば、相続がスムーズに行われます。遺言状を発見できずに、相続人だけで遺産分割協議を済ませてしまうという事態も防げますね。

一方、生前に遺言状の存在・内容を明らかにすることで、かえって余計な争いを招くという考え方もあります。特に、安易に遺言状の内容を公表すると、遺産を多く相続できる人とそうでない人との間に溝が生まれ、家族仲が悪くなる可能性が高いです。

そのため、遺言状の存在は知らせるべきですが、保管場所や内容までオープンにすべきかどうかは、家族との関係性や相続争いの可能性などを総合的に考えた上で決めましょう。次に、遺言状の具体的な保管場所についてお伝えします。

 

自宅内に保管する場合

まず、遺言状の存在を誰にも知られたくない場合、自宅内でこっそりと保管することが考えられます。とはいえ、冷蔵庫の裏など、非常に見つけにくい場所に保管してしまうと、相続発生時に誰にも発見されないおそれがあります。

逆に、あまりにも見つけやすい場所に遺言状を置いておくと、何者かに中身を見られて内容を改ざんされてしまう可能性も否めません。そこで「普段は他の人に見られず、死後すぐ発見してもらえる所」に保管するのが良いでしょう。

具体的には、以下の場所が挙げられます。

・自宅の金庫
・鍵付きの机やタンスの引き出し
・自分専用の本棚の中

上記の場所は、生前家族などに見られるおそれが低いのですが、死後に部屋を整理する際にすぐ見つけてもらえます。とはいえ、家族と一緒に住んでいる場合、思わぬタイミングで遺言状を見つけられて、中身を知られる可能性もゼロではありません。

遺言状は、ただでさえ偽造・変造の多い書類です。さらに、火事や水害などの自然災害によって滅失することもあります。このような危険を完全に避けるには、自宅保管では限界があります。そのため、自宅外に保管するのがより確実です。

 

自宅外に保管する場合

 

1.銀行の貸金庫

自宅外で保管する場合に、最初に思いつくのが「銀行」です。多くの銀行では、貸金庫を設置しています。年間数万円で貸し出してくれますので、銀行の貸金庫に遺言状を保管する方は多いです。

貸金庫を借りていたことは、すぐ遺族に発覚するケースが多いです。そして、貸金庫があれば、中身が気になって開けるはずです。このように、遺言状の存在を家族に知らせていなくても、貸金庫さえ開ければ遺言状に気づいてもらえるので安心ですね。

2.弁護士事務所・行政書士事務所

次に考えられるのは、弁護士事務所・行政書士事務所です。これらの事務所では、遺言状の作成・保管を手厚くサポートしてくれます。さらに、死後も「遺言執行者」として、遺言内容の実現のために必要な手続を代行してくれます。

家族が不仲で、遺言状どおりに相続がなされるかが不安な人は、思い切って専門家に頼ってみましょう。

3.信頼できる人に預ける

上記の方法は、いずれも費用がかかります。遺言状の保管にそれほどお金をかけたくない人は、家族や友人など信頼できる人に預けるのも1つの手です。

ただし、相続人のうち1人に預けた場合、勝手に中身を見られてしまうおそれがあります。また、1人の相続人に遺言状を預ける行為は、他の相続人との公平性を害することになります。

すなわち「本当はこの相続人が無理やり書かせたのではないか」「この相続人が偽造した遺言状ではないか」というあらぬ疑いを持たれて、相続争いに繋がりかねないのです。専門家以外の第三者に預けるときは、より慎重になりましょう。

 

まとめ

以上を総合すると、弁護士事務所などに遺言状を保管してもらう方法が最も安全性が高いことが分かります。遺言状は、遺言者の最後の意思を表示する大切な書面ですから、費用をかけてでも厳重に保管することをおすすめします。

もっとも、その他の保管方法が悪いというわけではありません。遺言状を常に手元に置いておきたいという方は、自宅内での保管も考えられます。自分が一番納得できる方法で保管しておきたいですね。

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