遺言 2017.10.04
自筆証書遺言とは?その書き方と、無効と判断されないための勘所
自筆証書遺言というものがあります。民法968条で定められた遺言書の一種で、自筆で遺言書を書き、はんこを押印したものです。もちろん、実印でなければなりません。被相続人が財産についてどのように考えているのかをはっきりと書面に起こしたものです。
自筆証書遺言の書き方
自筆証書遺言には、いくつかのポイントがあります。それを踏まえて、無効と判断されないために、しっかりとした遺言書を書きましょう。
まず、財産をもれなく正確に記載する必要があります。
遺言書を書くということは、自分の意志で亡くなったあとの遺産の行く末にコメントを入れるということでもあります。自分のどの遺産についてどのようにしたいのか、しっかりと書くためには、まず遺産の全貌がわかっていなければなりません。
遺言は残された方にとってはとても重要なものです。
財産目録などをまずは作成し、すべての財産の把握を行いましょう。
どの財産について触れているのかをしっかりと確認するためにも、土地は登記簿を使って特定し、預金などは支店名および口座番号を明記することで、誰が見てもどの財産について書いているのかをわかるようにします。
相続には、配偶者や子供が関係しています。そこで、遺産分割の割合を自筆証書遺言で指定しようと考えるのであれば、財産が5000万円の現金と200平方メートルの土地だった場合に、配偶者に3000万円、子供1に2000万円、子供2に土地200平米、などと指定します。法定相続分を超えて、自筆証書遺言で遺産割合を決定する場合、名前等を明記して、どの財産を誰に渡すかを決定します。
民法上は、手書きで自筆証書遺言を書くことが求められています。
パソコンでは上書きされてしまいますし、代筆も不可となっています。音声や映像もNGなので、ビデオで録画して、と言う方法も使えません。あくまで、紙に自筆で文字を書いたものでないと、自筆証書遺言とは認められないのです。
ボールペンなどで偽造を予防しておくと良いでしょう。消せない文具で書くのがおすすめです。また、ノートなどに書くのではなく、和紙などの比較的丈夫な紙に書くことも推奨されています。
いつ書いたものなのかをしっかりとメモに残しましょう。
読んだ人が見て、わかるように書くことがポイントです。自筆証書遺言は、複数作ってしまったときに、日付がもっとも新しいものが優先されます。そのため、書いた日を書くのは必須です。
押印も必要です。自筆で行う必要があります。戸籍名を自筆で署名し、しっかりと押印しましょう。また、封筒にも入れます。封筒の封印に押すと、偽造の疑いがなくなるので安心です。
また、遺言は夫婦や親子などで共同作成はできません。あくまで自分個人の財産について、ひとりで一通の遺言となります。
書いたら、無くさないように保管してください。家族には場所を教えておくと良いでしょう。発見されなければ意味がないものなので、分かる位置に保管します。
自筆証書遺言が無効になってしまうケース
では、無効になってしまうケースを考えていきましょう。
自筆証書遺言は、民法968条で定められていますので、しっかりとこの法律に従う必要があります。
たとえば、遺言書に日付が書いていないケースは結構あります。これだと、裁判所で確認したときに、死亡日の前に書かれたことが確認できないのです。
民法でも、自筆証書遺言は日付が必須であることが明記されており、日付がないと無効になってしまいます。気をつけましょう。
パソコンで作った人も無効になってしまいます。
ワードなどで作って印刷、というのも無効です。法律上、自筆で書くことが定められていますので、自筆証書遺言は自筆で書かないと無効になってしまいます。
プリントアウトした用紙に押印してもNGです。紙に書かなければ意味がありません。
また、明確に書かれていなければなりません。
登記簿を取り寄せて、どの土地・建物であるかを不動産情報としてしっかりと自筆証書遺言に記載する必要があります。床面積などもしっかりと書きましょう。住所で書いてしまうと、特定できないケースがあります。
また、自筆証書遺言が他人の意思で書かされたものと疑われる場合は、無効になってしまいます。認知症などに罹患していて、自筆証書遺言が書かれた時期によっては、本当に本人が書いたのが疑わしいケースなどです。他人が書いた場合は無効となります。
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