贈与・生前贈与 2018.01.04

孫に生前贈与する方法やメリットとは?

子供や配偶者へ生前贈与するよりも、孫へ生前贈与する方が相続税の節税効果は高くなります。また相続税対策のためだけでなく、可愛い孫の人生のために生前贈与で財産を分けてやりたい、と思われる祖父母の立場の方もおられることでしょう。

この記事では、孫へ生前贈与する上で効果的な方法や、孫への生前贈与で得られるメリットをご紹介します。

記事ライター:棚田行政書士

孫の教育資金として生前贈与する

学齢期の孫への生前贈与には、教育資金としての生前贈与という方法があります。

平成25年4月1日から平成31年3月31日までの期間限定ですが、30歳未満の孫(子供・ひ孫も含む)へ教育資金として1,500万円までの生前贈与を行う場合は、贈与税を非課税とする制度が実施されました。

ここで言う教育資金には、孫の入学金や授業料などの直接的な学費以外に、塾や部活動にかかる費用、通学や留学のための交通費なども含まれます。孫の教育資金としての生前贈与の開始から完了までのプロセスは、次のようになります。

1.教育資金口座を開設する

この非課税制度の適用を受けるためにはまず、教育資金口座の開設が必要です。教育資金口座は、大手信託銀行や都市銀行、証券会社などで取り扱っています。

口座を開設後、口座を作った金融機関を通して「教育資金非課税申告書」を提出します。提出先は、受贈者である孫の納税地の税務署となります。

2.教育資金口座から払い出しをする

実際に資金が必要な時に、孫が教育資金口座から払い出しを行います。払い出しの方法は金融機関によっても異なりますが、いったん立て替えた後に払い出しを行う「領収書払い・明細書払い」や、入学金など金額の大きい費用を支払う場合に用いられる「請求書払い」などがあります。

払い出しには、支払いの事実を証明するための書類が必要となります。払い出し方法によっても異なる場合がありますが、基本的には支払い日から1年以内、もしくは支払い年月日の翌年の3月15日までに、支払いの事実を証明する書類を金融機関へ提出することが必要です。

3.教育資金口座の契約を終了する

次の要件のいずれかに該当した場合は、教育資金口座の契約が終了します。
1.受贈者が30歳に達した場合
2.受贈者が死亡した場合
3.口座の残高がゼロになり、契約終了に関して合意があった場合

 

孫の住宅取得資金として生前贈与する

孫のマイホーム資金、または住宅改築費用としても、財産を生前贈与することができます。

住宅取得または改築に関する契約の締結日が平成28年1月1日~平成32年3月31日の場合、省エネ住宅などに対しては最大1,200万円、それ意外の住宅は最大700万円までの生前贈与が非課税で行えます。住宅の性能によって、このように限度額が異なりますので注意しましょう。

また条件として、直系尊属からの生前贈与であることと、孫が20歳以上である必要があります。またこの特例を利用するためには、贈与税がゼロであっても、必要書類を揃えて税務申告を行う必要があります。

 

贈与税の基礎控除額内で孫に生前贈与する

贈与税には基礎控除があり、年間で受贈者1人あたり最大110万円までの生前贈与は非課税として扱われます。

この生前贈与の基礎控除は孫に限らず、子供や配偶者への生前贈与にも適用されますが、子供や配偶者は「相続人」という立場のため、相続開始前3年以内に被相続人から受けた生前贈与については相続財産に含めて相続税を計算するという「3年内加算」というルールの対象となっています。

しかし孫への基礎控除額内の生前贈与は、このルールの対象外です。そのため、確実に非課税で孫の代へ財産を移すことができる方法となります。

この基礎控除は、先に取り上げた教育資金贈与や住宅取得資金贈与との併用も可能であり、資金の用途に縛られずに孫へ生前贈与することのできる大変有用な手段となっています。

 

孫に生前贈与することで、一世代分の相続税を無くすことができる

通常のように、親から子へ、子から孫へ、という相続が行われる場合、相続する世代ごとに相続税や贈与税が発生することになります。

しかし、親(祖父母)から孫へ財産を生前贈与するなら、相続のプロセスを一世代分飛ばすことになります。それによって、一世代分の相続税を無くすことができます。相続財産が多いご家庭の場合は、孫への生前贈与を有効活用することで、将来発生する相続税負担を大幅に節税することができるでしょう。

 

まとめ

孫への生前贈与には、様々な特例制度が設けられています。計画的に孫へ生前贈与することで相続税が節税できるだけでなく、お孫さんが必要とするタイミングで必要な分の財産を有効に活用してもらうことができるため、大いに喜んでもらえることでしょう。

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