遺産相続・遺産分割 2018.03.30
遺産相続では遺産の分け方はどうやって決める?
遺産相続で問題になりがちなのが、遺産の分け方です。遺産相続が発生すると、相続人全員で遺産を共有することになりますが、いつまでも共有にしておくことはできず、遺産の分け方を決める必要があります。ここでは、遺産相続の際、遺産の分け方を決める「遺産分割」の手続きについて説明します。遺産相続が発生したら、どのような手順で遺産の分け方が決まるのかを知っておきましょう。
遺産相続では分け方は話し合いで決めるのが原則
・遺言のない遺産相続では遺産の分け方を決める手続きが必要
遺言書のある遺産相続では、遺言書の内容に従って遺産の分け方が決まります。一方、遺言書のない遺産相続では、法定相続人が法定相続分ずつ遺産相続するのが原則です。
とはいえ、遺産は自動的に法定相続分ずつ分けられるのではなく、遺産の分け方を決める手続きが必要になります。遺産相続における遺産の分け方を決める手続きは、「遺産分割」と呼ばれます。
・遺言のない遺産相続では金銭債権以外は遺産分割の対象となる
遺産相続が発生すると、貸付金などの金銭債権は法定相続分で当然に分割されますが、それ以外の不動産、現金、預金などは、相続人全員の共有となります。遺産分割では、遺産相続発生後共有になっている、これらの遺産の分け方を決めることになります。
・遺産分割協議とは遺産の分け方を決める話し合い
遺産相続の際に行われる「遺産分割協議」とは、遺産の分け方を決める相続人全員の話し合いを意味します。遺産の分け方を決めるときには、まず、遺産分割協議をする必要があります。
遺産分割協議では、基本的に法定相続分に従って遺産を分けます。ただし、相続人全員が合意していれば、必ずしも法定相続分どおりの分け方でなくてもかまいません。
・遺産の分け方が決まれば遺産分割協議書を作成
遺産分割協議が成立すれば、相続人全員が署名し、実印を押印した遺産分割協議書を作成します。そして、不動産の相続登記や、預貯金の名義変更などの遺産相続の手続きは、遺産分割協議書にもとづき行うことになります。
遺産相続で分け方がスムーズに決まらない場合には調停を行う
・遺産相続の際、話し合いで遺産分割ができなければ裁判所を利用
遺産相続は相続人の利害が大きくかかわってくる問題ですから、話し合いをしてもスムーズに遺産の分け方が決まらないことがあります。
また、遺産相続が発生したけれど、何らかの事情で、相続人同士の話し合いができないこともあります。このような場合には、裁判所を利用して遺産相続における遺産の分け方を決めることができます。
・遺産分割調停は裁判所での相続人の話し合い
家庭裁判所を利用して遺産相続における遺産の分け方を決めたい場合、通常は遺産分割調停を申し立てることになります。調停は裁判所で話し合う手続きになりますが、客観的な立場の調停委員が間に入ることにより、相続人だけで遺産の分け方を話し合うよりも合意に至る可能性が高くなります。
遺産分割調停が成立すれば、家庭裁判所において調停調書が作成されます。そして、相続登記や預貯金の名義変更などの遺産相続手続きは、調停調書にもとづき行うことになります。
遺産相続で分け方を審判で決める場合とは?
・家庭裁判所の審判とは
家庭裁判所で行う手続きに、審判(家事審判)と呼ばれるものがあります。審判とは、当事者が提出した書類や家庭裁判所調査官の調査結果などの資料にもとづき、裁判官が判断を行う手続きになります。調停はあくまで話し合いですが、審判は裁判に近いものになります。
・遺産分割調停不成立なら審判になる
遺産相続の際、家庭裁判所で遺産分割調停を行っても分け方が決まらず、調停不成立となってしまうことがあります。遺産分割においては、調停不成立になった場合、自動的に遺産分割審判に移行します。申し立てをするまでもなく審判において審理が行われ、最終的な遺産相続における遺産の分け方が決まることになります。
・遺産分割では審判の申し立てもできる
家事事件については、「調停前置主義」により、裁判所に申し立てる場合にはまず調停からとされているものが多くなっています。しかし、遺産分割事件に関しては、調停前置主義が採用されていません。
遺産相続発生後、分け方で争いになった場合には、遺産分割調停を申し立てるのではなく、遺産分割審判を申し立てることも可能になっています。
実際には、遺産分割審判を申し立てた場合でも、裁判所の職権により、調停に付されるケースが多くなっています。この場合には、まず調停で遺産の分け方を話し合い、調停不成立になれば審判で分け方が決まります。
・遺産分割審判に対する不服申し立て
遺産分割審判が下されたけれど、遺産の分け方に不服がある場合、即時抗告という形の不服申し立てができます。即時抗告をした場合には、高等裁判所で抗審が行われ、不服申し立てに理由があるかどうかが審理されることになります。
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