遺言 2017.11.01

遺言について相談できる窓口はどこ?

遺言を作成したいけれど、何をどうすればよいかわからないということもあると思います。遺言は民法に定められた方式に則っていなければ無効になりますから、注意して作成しなければなりません。ここでは、遺言について相談できる窓口をご紹介しますので、遺言作成時の参考にしていただければ幸いです。

記事ライター:ゆらこ行政書士

 

行政書士

・行政書士は遺言作成の相談受付や支援ができる

行政書士は権利義務に関する書類の作成とその代理、相談業務を行うことができる専門家です。行政書士は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の作成の支援を行うことができます。

・行政書士に遺言の相談をするメリット

行政書士は公正証書作成業務も行っており、公証役場での手続きに慣れています。そのため、公正証書遺言作成の際には、公証人との連絡や調整がスムーズにできます。行政書士には、公正証書遺言の証人や遺言執行者を依頼することもできます。行政書士に相談の上で遺言作成を依頼した場合、他の専門家に依頼した場合に比べて、費用が安くなるケースが多くなります。

・行政書士に遺言の相談をするデメリット

行政書士は当事者の間に入って紛争を解決することはできません。行政書士に相談して遺言作成を支援してもらっていても、相続紛争が起こった場合には、行政書士ではなく弁護士に依頼する必要があります。

 

司法書士

不動産に関する遺言は司法書士に相談および依頼ができる

司法書士は、不動産登記の申請手続きを代理できる専門家になります。そのため、遺言で不動産を相続させたり遺贈したりする場合には、司法書士に遺言についての相談をすることができます。

司法書士に遺言の相談をするメリット

司法書士に相談の上で公正証書遺言の作成を依頼した場合、司法書士に証人や遺言執行者になってもらうことができます。司法書士が遺言執行者に就任すれば、不動産の所有権移転(相続・遺贈)登記がスムーズにできます。

司法書士に遺言の相談をするデメリット

相続紛争が起こっている場合には、司法書士に解決を依頼することはできません。司法書士に相談して遺言作成や遺言執行者を依頼しても、相続紛争に発展した場合には、弁護士に相談する必要があります。

 

弁護士

弁護士には相続問題全般を相談できる

弁護士は、依頼を受けて法律事務を処理することを業務とする専門家です。弁護士の仕事は裁判を行うだけではありません。弁護士は相続に関する法律問題全般にかかわることができますから、弁護士に遺言の相談や作成依頼をすることも可能です。

弁護士に遺言の相談をするメリット

弁護士は他の専門家と比べてできる業務の範囲が広いため、相続に関する問題にも幅広く対応できます。弁護士は当事者の間に入って紛争を解決できますから、弁護士に遺言執行者を依頼すれば、将来の相続紛争に備えることができます。また、他の相続人等と直接かかわりたくない場合にも、弁護士に依頼すれば代理人として交渉してもらうことが可能です。

弁護士に遺言の相談をするデメリット

弁護士は他の専門家に比べてできる業務の範囲が広いため、報酬も高額になっています。遺言の相談や作成だけを依頼したい場合や、相続財産がそれほど多くない場合には、弁護士に依頼するとコスト的に割高になってしまうことがあります。

 

その他の相談窓口

公証役場

公証役場では、公正証書遺言の作成を前提とした遺言に関する相談に無料で応じてもらえます。ただし、公証役場では、遺言の具体的な内容にまでは関与してくれません。公証役場で相談できることは、基本的に遺言の作成方法など形式的な内容になります。

遺言により相続対策をしたい場合や、将来の相続紛争を予防したい場合には、行政書士、司法書士、弁護士にあらかじめ相談したうえで、公証役場に依頼するのが安心です。

市民法律相談

市区町村役場では、定期的に無料の法律(弁護士)相談、司法書士相談、行政書士相談などの市民相談を行っています。市民相談を利用すれば、遺言について無料で専門家に相談することができます。

なお、市民相談は1人あたりの時間が限られており、詳細な内容を説明したり、具体的なアドバイスを受けたりすることは難しいことがあります。また、市民相談では専門家の営業行為は禁止されているため、遺言作成を専門家に依頼したい場合には、別途専門家を探す必要があります。

法テラス

法テラスとは日本司法支援センターのことで、法的トラブルを解決するための道案内をしてくれる機関です。遺言に関しても、相談内容を確認したうえで、適切な相談窓口を教えてくれます。

法テラスでは、定められている一定額の収入以下である等の要件を満たした場合には、無料で法律相談を受けることもできます。また、弁護士や司法書士に事件を依頼することになった場合には、費用の立て替え制度を利用することも可能となっています。

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