遺産相続・遺産分割 2017.10.04
相続で揉めてしまったら…?知っておきたい遺産分割調停のこと
家や土地、預金、株式…など、相続財産が多い場合、または、相続人が多数にのぼる場合など、誰がどの財産を相続するか、当事者の話し合いだけでは解決できないケースがあります。
このような場合には、調停や審判による分割をする手続きを利用することもひとつの方法です。
相続人全員が納得のいく分割を実現するためにも、調停と審判による分割手続きについて説明したいと思います。
遺産分割調停とは
相続が開始すると、まずは相続人で話し合いをし、だれがどの財産を相続するのか協議すること(=遺産分割協議)になります。
遺産分割は、亡くなった方の遺産を相続人で分け合うというものですので、親族間の問題です。
まずは相続人同士で解決することが望ましいですよね。 しかし、遺産分割は金銭の絡む問題であるため、必ずしもスムーズに解決しない場合や、話し合いがまとまらない場合が多いのも現状です。したがって、相続人同士の話し合いで意見がまとまらない場合には、裁判所に申立てをし、調停によって分割する手続きを利用することが考えられます。
これが、遺産分割調停です。
調停による分割は、調停委員を介して話し合いが行われます。調停委員とは、弁護士や専門的知識を有する人が任命され、公正中立的な立場で関与します。 相続人がそれぞれ調停委員に主張を伝え、調停委員が各相続人の希望を取りまとめるという方法で、円満に分割できるように進められるのが、遺産分割調停です。 当事者だけで話し合いをするよりも、中立な第三者が介入することで話し合いがスムーズに進みます。同時に、この点が相続人全員で話し合いをする遺産分割協議とは異なる点です。 話し合いの結果、調停が成立すれば調停調書が作成され、手続きは終了します。
しかし、調停での解決が難しい場合には、後に説明する審判手続きへと移行します。
なお、調停は期間や回数制限はないものの、その多くは一年以内、回数は3~10回以内で終了することが多いようです。
調停の手続き
具体的に遺産分割調停の手続きを見ていきましょう。
遺産分割調停は、相続人が他の相続人を相手方として起こすことになります。
申立ての方法としては、相続人が、管轄の家庭裁判所に申し立てることで開始します。
※ 必要書類については、被相続人の戸籍謄本・相続人の戸籍謄本・相続人の住民票・遺産に関する証明書等が必要となります。
※ 管轄の裁判所は、相手方となる相続人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所に対して申し立てることになります。
調停を申し立て受理されると、裁判所から「この日に話し合いをします」という期日が指定されます。調停の成立のためには相続人全員がこれに出席しなくてはいけません。家庭裁判所の呼び出しを正当な理由なく欠席した場合、5万円の罰金が課せられることもありますので気を付けましょう。 話し合いがまとまれば調停の成立です。調停が成立すると、調停調書が作成されます。この調停調書に基づいて、強制的に分割を実現することができるのです。
審判による分割
調停によっても話し合いがまとまらない場合、審判による分割(=遺産分割裁判)に自動的に移行します。
遺産分割協議や遺産分割調停と異なり、話し合いではなく、裁判所によって決められることが大きな違いといえるでしょう。当事者が事実を主張し、それを裏付ける証拠を提出して、審判が下ります。 審判による分割手続きでは、当事者間で分割内容が対立していたとしても、審判によって強制力をもって分割されることになります。 裁判所による審判である以上、あくまで法定相続分に沿って決められることになります。遺産分割自体を実現できるという点はメリットといえますが、法定相続分での分割に不服がある相続人については、デメリットが大きいと言えるでしょう。
さらに、不動産の場合は、任意売却すべきと判断された場合には、通常よりも低廉な価格で売却されることもあるので、当事者の話し合いによって分割するよりも相続分が少なくなる可能性もあります。
期間としては、判断すべき争点が多数ある場合などには1年以上かかる場合もあります。なお、審判の結果に不満がある場合には、さらに高等裁判所で判断を求めることができます。
まとめ
ここまで調停について解説してきました。
相続は、不動産や金銭に関係するものである以上、当事者だけで円満に解決することは難しいケースもあります。
そのような場合でも、なるべきスムーズに分割できるよう、調停の利用することは重要です。
以上
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