遺産相続・遺産分割 2018.01.02

連れ子の相続についての基礎知識

連れ子とは、結婚するときにどちらかが連れてきた子供です。特に、女性が再婚する場合には、連れ子がいることも多いと思います。再婚相手は連れ子の実の父親ではなくても、実の父親と同じように暮らしているケースもありますから、相続については気になるところでしょう。ここでは、再婚時の連れ子の相続について、知っておきたい基礎知識をまとめています。連れ子のいる方はぜひ参考にしてみてください。

記事ライター:ゆらこ行政書士

再婚時の連れ子は誰の相続人になる?

連れ子は再婚相手の相続人とはならない

子供を連れて再婚した場合、自分の連れ子と再婚相手との間に親子関係はありません。子供は第1順位の相続人ですから、親が亡くなった場合、子供は必ず相続人になります。しかし、再婚相手と連れ子が実の親子と同じように暮らしていても、親子でない以上、相続人とはなりません。再婚相手が亡くなっても、連れ子は財産を相続できないということです。

連れ子は必ず実親の相続人となる

連れ子には、再婚相手以外に、実の父親や母親がいるはずです。実父や実母と既に交流がなくなっていても、連れ子は実父や実母が亡くなったときには相続人になります。たとえ両親が離婚しても、子供と双方の親との親子関係はなくならないからです。

日本では、特別養子縁組という制度を利用して6歳未満の子を養子にする場合を除き、実の親子の関係が法律上消滅することはありません。特別養子縁組は、再婚の際の連れ子の場合には認められていないため、連れ子と実親の親子関係がなくなることはなく、実親が亡くなったら連れ子は必ず相続人となります。

離婚により交流が途絶えている実親とも、相続の場面では再び関わらなければならないこともあります。実親が借金を残している場合には、連れ子は借金を相続する可能性もあるということですから、注意しておかなければなりません。

 

養子縁組すれば連れ子は再婚相手の相続人になる

養子も第1順位の相続人になる

連れ子を再婚相手の相続人にしたい場合、再婚相手と連れ子を養子縁組する方法があります。養子縁組とは、法律上の親子関係を発生させる制度です。再婚相手と連れ子が養子縁組すれば、再婚相手は養親、連れ子は養子ということになります。養子は相続については実子と同じ扱いになりますから、第1順位の相続人となり、養親である再婚相手の財産を相続することができます。

養子縁組の方法

養子縁組は、本籍地または住所地の役所に、養子縁組届を提出して行います。未成年者を養子にする場合には、通常は家庭裁判所の許可が必要ですが、配偶者の連れ子を養子にする場合には家庭裁判所の許可なしに養子縁組ができますので、手続きは非常に簡単です。

養子縁組の効果

養子縁組すれば、再婚相手と連れ子は、互いに扶養義務を負うことになります。また、養子が未成年者の場合には、養親は養子の生活保持義務も負うことになります。さらに、養子の親権も、養親が持つことになります。養子縁組により、再婚相手は連れ子に財産を相続させることになるだけでなく、親としての責任も負うことにもなります。

連れ子と養子縁組した場合の相続税

相続人の中に養子がいる場合、相続税の計算の際に注意しなければならない点があります。相続税の基礎控除額や生命保険金の非課税限度額は「法定相続人の数」を基準に計算しますが、この場合の「法定相続人の数」に含めることができる養子の数には制限があります。

具体的には、亡くなった人に実子がいる場合には養子1人まで、実子がいない場合には養子2人までしか、「法定相続人の数」に含めることはできません。

ただし、養子が配偶者の実の子供である場合には、何人でも「法定相続人の数」に含めることができます。つまり、配偶者の連れ子を養子にすれば、相続税の計算でも実子と全く同じ扱いを受けられるというメリットがあります。

 

再婚相手が遺言を書けば連れ子は財産を相続できる

遺言すれば財産を自由に処分できる

連れ子を再婚相手の相続人にするもう1つの方法は、再婚相手が遺言を書く方法です。死後の財産の処分方法は、本人が遺言で指定することができますから、再婚相手自身が遺言を書けば、財産を連れ子に相続させることも可能になります。ちなみに、この場合には再婚相手は遺言により連れ子に財産を遺贈することになりますから、厳密には連れ子は「相続人」ではなく「受贈者」ということになります。

遺言を書くなら遺留分に注意

再婚相手が亡くなったときに相続人となる人の中には、遺留分を持っている人がいます。再婚相手にも前婚の子(実子)がいれば、その子には遺留分があります。また、再婚相手に実子がいない場合でも、親が生きていれば、その親が遺留分を持っています。遺留分を持っている人がいる場合には、遺留分を侵害することのないよう注意して遺言を書く必要があります。

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