遺産相続・遺産分割 2017.10.04

親の遺産相続で兄弟トラブルを予防するには

それまでは仲が良かった兄弟でも、遺産相続の場面になると争いになることがあります。ここでは、遺産相続の兄弟トラブルはなぜ起こるのかを分析し、遺産相続の兄弟トラブルを予防する方法について考えてみます。

記事ライター:ゆらこ行政書士

親の遺産相続の権利は兄弟で平等

民法に定められた法定相続のルールでは、亡くなった人(被相続人)の配偶者は必ず相続人となり、それ以外では、①子、②直系尊属、③兄弟姉妹という優先順位で相続人になります。たとえば、被相続人に妻と子がいれば、妻が遺産の2分の1を相続し、残りの2分の1を子が相続します。

なお、被相続人の子が複数いる場合には、子の相続分を兄弟全員で平等に分けることになります。たとえば子が2人(兄、弟)の場合には、兄も弟も相続分(相続する割合)は4分の1ずつになります。

親が亡くなった場合、戦前の制度では、家督相続といって、長男が全財産を相続することになっていました。しかし、現在の民法では、長男であろうが次男であろうが、また、男であろうが女であろうが関係なく、親の遺産相続は兄弟姉妹皆が平等となっています。

 

遺産相続で兄弟トラブルが起こる理由

・兄弟のうち1人だけが親の介護をしているケースも多い

親が亡くなったときの遺産相続が兄弟間で平等になったことは、一見よいことのようにも感じますが、逆に争いのもとになることがあります。というのも、特に大人になってからの親とのかかわり方は、兄弟で必ずしも同じではないからです。

たとえば、兄は親と同居して親の介護を行っているけれど、弟は親とは絶縁状態で介護にも全く関与していないといったケースはよくあります。このようなケースで親が亡くなった場合、兄も弟も全く平等に遺産を相続するとなると、兄としては納得がいかないでしょう。一方、弟としては、自分も兄と平等に相続する権利があるのであれば財産をもらいたいと思うことも多いはずです。

・親の介護で「寄与分」は認められにくい

民法には、被相続人に対して「特別の寄与」があった相続人が他の相続人より優遇される「寄与分」という制度があります。親の介護を行った子は、寄与分を主張して自分の相続分を増やせないかと考えるかもしれません。しかし、親子間では法律上互いに扶養する義務があるため、親と同居して介護をしていたという事実だけでは寄与分は認められないのが通常です。

・遺産が少なくてもトラブルになる

遺産相続の兄弟トラブルは、財産を持っている人だけの話だけでは決してありません。たとえば、親が残した財産が自宅の土地と建物だけの場合、不動産は簡単に分けられませんから、兄弟の誰が相続するかで争いになってしまいがちです。もし遺産分割のためにやむを得ず不動産を売却することになれば、兄弟の誰かが親と同居していた場合、住む場所を失ってしまうことにもなります。

・相続開始前にトラブルの予防策を講じておく

法定相続のルールでは、親とのかかわり方がどうであれ、兄弟が平等に相続する原則を変えるのは困難と言えます。こうしたことから、それまではケンカしたこともなかった兄弟が、遺産相続をきっかけに険悪な関係になってしまうことがあります。遺産相続の兄弟トラブルを予防するためには、相続が発生する前に対策を考えておく必要があります。

 

遺言により遺産相続の兄弟トラブルを予防

・遺言により相続の方法を指定

親が亡くなった後、残された子どもたちで兄弟トラブルにならないようにするためには、親が遺言を書いておくのが有効です。相続では、遺言があれば、法定相続よりも遺言の方が優先することになっています。たとえば、親の介護を行った子どもには財産を多く譲る遺言を書いておけば、たとえ兄弟間が不平等であっても、遺言者の意思が尊重されます。

・遺留分に注意

遺言を書くときには、遺留分に注意しておく必要があります。遺留分とは相続人に最低限保障されている相続割合になります。子が親の相続人になる場合、子には遺留分があります。さらに、配偶者が生きていれば、配偶者にも遺留分があります。たとえば、兄弟のうち1人に全財産を相続させるといった遺言を書くと、他の相続人の遺留分を侵害することになってしまいます。

親が亡くなったときの子の遺留分は、次のようになっています。

ア.配偶者がいる場合…1/4を子の人数で割ったもの

例)子が2人の場合には、それぞれ1/8ずつ

イ.配偶者がいない場合…1/2を子の人数で割ったもの

例)子が3人の場合には、それぞれ1/6ずつ

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