遺産相続・遺産分割 2018.02.17
遺産相続の流れをダイジェストで解説
遺産相続は多くの人にとって、人生の中で頻繁に直面するものではないかもしれません。そのため、いったい何から手を付けて良いのか、どのような流れで進めれば良いのかが分からず、戸惑う人も多いことでしょう。
ここでは、家族を持つ人であれば誰もが経験することになる遺産相続の流れを、期間の目安とともにダイジェストで解説していきます。遺産相続の全体の流れを把握しておき、いざ遺産相続が始まった時に慌てないよう準備しておきましょう。
遺産相続開始から相続税の申告までの流れを紹介
遺産相続の流れのゴールは、相続税を正しく申告することです。相続税のかからない遺産相続の流れでは、不動産の登記を始めとする遺産の名義変更を完了することがゴールとなるでしょう。
これらの手続きの流れは、原則として遺産相続が開始してから10カ月後までに完了させることになります。
10カ月というと長いように感じますが、遺産相続の流れの中の手続きには相続人全員で協力して進めなければならないものもあり、意外に時間的ゆとりは少ないでしょう。
早め早めの行動を意識しつつ、遺産相続完了までの流れを速やかに終えられるようにしましょう。では、遺産相続開始から完了までの流れをご紹介します。
遺産相続の流れ前編
前編での手続きの流れはすべて、遺産相続開始から3カ月以内に完了しましょう。
1.遺言書の確認
まずは、遺言書があるかを確認しましょう。家の中だけでなく、会社や車の中、借りていた貸倉庫などもくまなく調べます。
遺産分割協議を行ってから遺言書が見つかると、それまでの流れから逆戻りして、もう一度一からやり直さなくてはならなくなります。遺産相続の流れをスムーズにするためにも、遺言書の有無は慎重に調査しましょう。
2.相続人の調査・確定
遺産相続できる相続人を調査します。遺産相続の流れの中で、特に重要なのがこの部分です。調査しなくても被相続人の家族構成は把握しているから平気だと思いこまないようにしましょう。
家族に内緒で認知した子どもがいたり、養子縁組していたりするケースも珍しくありません。調査には、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍・除籍・改製原戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
3.遺産の調査・確定
遺産相続できる相続人の調査と並行して、遺産の調査を進めましょう。現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、債務もすべて洗い出す必要があります。
各種ローンやクレジットカードの未決済金、未納の税金や事業上の買掛金などを調査しましょう。調査した結果は財産目録として書面にします。
4.生命保険金の請求
被相続人が被保険者になっている生命保険金があるなら、ここまでの流れで請求しておきましょう。
5.相続放棄・限定承認の決定
ここまでの流れを終えたら、遺産相続を承認するか放棄するかを決定します。遺産相続の決定は、原則として遺産相続開始から3カ月以内に決定します。もし前述の遺産相続手続きの流れに時間を取られてしまって3カ月を超過しそうな場合には、家庭裁判所へ期間の伸長申立てをすることで、決定をもう3カ月待ってもらうことができます。
遺産相続の流れ後編
ここからが遺産相続手続きの後編です。
6.所得税の準確定申告
遺産相続の流れには、被相続人が死亡した年の所得税を相続人が申告・納税するという手続きも含まれます。1月1日から被相続人が死亡した日までの分を申告することが、所得税の準確定申告です。
ここまでの流れは、遺産相続開始から4カ月以内に完了しましょう。
7.遺産分割協議および遺産分割協議書の作成
遺産相続できる相続人が複数いる場合には、各相続人に遺産を分割します。遺言がない場合には、どのように遺産を分けるか相続人全員で話し合って決めることになります。これが遺産分割協議です。協議で話がまとまったら、内容を保存するために遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議に期限はありませんが、遺産分割が済んでいる場合のみに適用される相続税の控除制度を利用するためにも、遺産相続開始後10カ月以内に終えられるよう意識しましょう。
8.不動産の相続登記
ここまでの流れが終わったら、速やかに遺産の名義変更を行いましょう。不動産の名義変更は特に迅速に行うべきです。相続を原因とする不動産登記は相続登記と呼ばれ、特に義務付けられているものではありません。
しかし相続登記をしないと売却や担保設定ができませんし、そうこうしているうちに次の相続が発生してしまったりすると権利関係が非常に複雑になってしまいます。相続登記はできるだけ早めに済ませましょう。
9.相続税の申告・納付
ここまでの流れを終えたら、いよいよ相続税の申告と納付です。これが、遺産相続の一連の流れです。
まとめ
遺産相続の流れは、相続開始から10カ月以内で終えるべき9つほどのステップで進んでいきます。基本的には、この流れに沿って手続きを行いましょう。手続きの流れの中で順番が前後してしまうと、もう一度やり直さなければならない部分も出てくるかもしれませんので、十分注意しましょう。
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