遺産相続・遺産分割 2018.04.12

絶縁状態にある家族との遺産相続のポイント

遺産相続の際には、相続人全員で協力しながら進める手続きがたくさんあります。もし、遺産相続の相続人の中に絶縁状態の家族がいる場合は、その人にも遺産相続手続きに参加してもらわなければなりません。
しかし、もし絶縁状態の家族と連絡がとれなかったらどうしたら良いのでしょうか。そもそも、絶縁状態の家族に遺産相続をさせないための方法はないのでしょうか?今回はこの点を考えていきましょう。

記事ライター:棚田行政書士

絶縁状態の家族も、遺産相続への参加が必須

遺産相続には、被相続人の相続人全員が参加する必要があります。相続人が欠けていれば遺産相続は始められないため、遺産相続の最初の段階で相続人をもれなく把握するために、被相続人の戸籍を調査するのです。

遺産相続が始まって、絶縁状態の家族が相続人になった時は、その人にも遺産相続が始まったことを知らせ、相続人として遺産相続に参加してもらわなければなりません。

事実上の絶縁、または絶縁状まで送って絶縁しているとしても、法的な血縁関係が切れたわけではないため、その人が遺産相続の相続人としての立場を失うことにはなりません。

遺産相続で遺言書がない場合は遺産分割協議で遺産の分け方を決めますが、相続人がひとりでも欠けた遺産分割協議は無効なため、絶縁状態の家族にも参加してもらわなければなりません。

 

絶縁状態の家族が遺産分割協議に参加しようとしない場合

絶縁状態の家族の所在が分かっていても、コミュニケーションが取れない場合があります。遺産分割協議は直接対面しなくても、電話や郵送でのやり取りでも進められます。

口もききたくないのであれば、郵送やメールなどの方法のみで遺産分割について協議し、遺産分割協議成立後の署名押印の際だけは折り合いをつけてもらうなどのかたちで進めましょう。

絶縁状態の家族が郵送でのやり取りにすら応じてくれない場合は、費用は必要ですが弁護士などの第三者に間に入ってもらい、橋渡しをしてもらいましょう。

 

絶縁状態の家族の所在や生死が分からない場合

絶縁状態の家族とは長い間連絡を取っていないことが多いでしょう。その場合、知らない間に住所や連絡先が変わっていて、遺産相続に関する連絡が取れないという事態も発生します。

絶縁状態の家族の居所が分からない場合は、家庭裁判所へ「不在者財産管理人の選任申立て」を行うことになります。

この申立てができるのは、絶縁状態で連絡が取れない人の配偶者や遺産相続の共同相続人、被相続人の債権者や検察官などです。不在者財産管理人に選ばれるのは、絶縁状態の人と遺産相続における利害関係にない親族が一般的です。

不在者財産管理人が選任され、「権限外行為許可の申立て」も受理されれば、絶縁状態の家族がいなくても遺産相続を進めることが可能です。

絶縁状態の家族の所在が不明の期間が7年以上であれば、不在者財産管理人を立てる他に「失踪宣告」を申立てることも検討できます。

失踪宣告を受けた人は死亡したものと見なされるため、絶縁状態のその人は死亡したものとして、遺産相続を進めることが可能になります。

 

絶縁状態の家族に遺産相続させたくない!できる対策方法は?

「絶縁状態の家族には遺産相続で財産を渡したくない」と考えることもあるかもしれません。絶縁状態の家族との法的な血縁関係は断ち切れない以上、次の2つの方法のいずれかによって、遺産相続を阻止するしかないと考えられます。

1.遺言書で指示しておく

遺言書で「○○(絶縁状態の家族)には一切の遺産相続をさせない」などと記載しておくことでその通りにすることはできます。

ただし、絶縁状態の家族が被相続人の兄弟姉妹でない限り、遺産相続において相続人に認められた遺留分だけは渡さなければならないかもしれません。

2.相続廃除の申立てをしておく

遺産相続における相続廃除の申立てで、絶縁状態の家族の相続権をはく奪することもできます。この場合はその人の遺留分もなくなるので、一切相続させないということが可能になります。

廃除は、被相続人が生前に自分で家庭裁判所へ申立てておくか、遺言で指示することで実現できます。ただし、相続廃除の理由として認められる条件は厳しく、犯罪を犯して実刑判決を受けたなどの重大な非行がなければ、認められません。

親の意向通りに進学・就職しなかったので絶縁状態にある子どもや、親が認めない相手と駆け落ちしたので絶縁した子どもなどを廃除するのは、ほぼ不可能でしょう。

 

まとめ

絶縁状態の家族が相続人の場合、基本的にはその人と連絡を取り、遺産相続に参加してもらうことになります。お互いに悪い感情があって、冷静な話し合いができない場合には、弁護士などの第三者に助けを求めましょう。

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