遺産相続・遺産分割 2018.04.13
遺産相続の対象となる財産の範囲とは
遺産相続が始まったら、遺言書の捜索をするとともに遺産相続の対象となる財産の調査も必要になります。
遺産相続の対象となる財産の範囲を正しく認識し、くまなく調査できていないと、遺産分割協議をしてしまった後で思わぬ債務が見つかるリスクがあります。
ここでは、遺産相続の対象となる財産の範囲や、調査のためにできることについて解説します。
遺産相続の対象となる財産の範囲
遺産相続の対象となる財産は、被相続人が所有していたすべての財産や権利が対象です。現金や預貯金など、金銭的価値のあるプラスの財産だけでなく、借金や賠償責任などのマイナスの財産も遺産相続の対象となる財産です。
遺産相続する人は、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産を同時に相続することになりますので、プラスの財産だけを対象として相続することはできません。
遺産相続の対象となる財産の範囲をすべて調査したら、財産目録にしておきます。遺産分割協議はこれをもとにして行われるため、ミスのできない重要な書類となります。遺産相続の対象となる財産の調査は、遺産相続開始後できるだけ早く着手することも必要です。
相続人は、遺産相続の対象となる財産の調査結果をもとに遺産相続をするか、相続放棄するかを決めることになりますが、その決定は遺産相続開始後3カ月以内に行うのが原則だからです。
遺産相続の対象となるプラスの財産の範囲
遺産相続の対象となるプラスの財産には、どのようなものがあるのでしょうか。プラスの財産の範囲内の、主なものを見てみましょう。
金融資産
現金、預貯金、有価証券、生命保険金や死亡退職金などが対象です。
現金、預貯金、有価証券類については、自室の机の中や会社などの金庫に保管されていることが多いようです。
保険証券や雇用契約書、就業規則などが見つかれば、被相続人の死亡によって支払われるお金があると分かるでしょう。
土地建物
宅地や田畑、山林や貸家などです。
不動産登記簿や権利証や売買契約書など、借地権については土地賃貸借契約書など、借家権、賃借権、地上権などについては、契約書や登記簿の内容を調べたり、取引をしていた不動産業者があるなら問い合わせたりすることもできます。
事業・農業用財産
事業に使用している電化製品や設備機器、家畜や果樹などの減価償却資産、商品や原材料などの棚卸資産、その他、売掛金や受取手形などが対象です。
家庭用財産
被相続人が所有していた家具や家庭用の品のすべても、遺産相続の対象となる財産の範囲内です。
一部の贈与財産
被相続人が生前に行った贈与のうち、遺産相続開始3年以内に行われた贈与は、遺産相続の対象となる財産と見なされます。また、相続時精算課税制度を利用した贈与財産も対象です。
その他
自動車や船舶、美術品や骨とう品、宝飾品、貸付金などです。ゴルフ会員権や電話加入権、特許権や著作権などの権利も、遺産相続の対象となる財産に含まれています。
遺産相続の対象となるマイナスの財産の範囲
遺産相続の対象となるマイナスの財産にはどんなものが含まれるのかを見てみましょう。
借入金
被相続人名義の住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードの未決済金や未払いの医療費などが対象です。
利用明細があれば分かりやすいのですが、なければ通帳の引き落とし項目をチェックしたりすることで発見できる場合があります。自動車ローンについては、車検証の所有者欄を見ることで、ローンで購入されている車かどうかが分かるでしょう。
保証債務
家族が知らない内に、被相続人が誰かの連帯保証人になっている場合もあります。連帯保証契約書を発見するしか方法はありませんが、見つかった場合は借り入れが滞りなく返済されているかを調査します。
葬儀費用
被相続人の葬儀のための費用も、遺産相続の対象となるマイナスの財産になります。遺体や遺骨の回送費用、葬儀費用、火葬や埋葬の費用、納骨の費用などを含めることになります。
税金
健康保険料、住民税、事業税、固定資産税などで未払いの税金があれば、それらも遺産相続の対象となるマイナスの財産です。督促状の有無や確定申告などの記録を確認することで、未払いの税金を把握出来る場合があります。
まとめ
遺産相続の対象となる財産の範囲は、被相続人の所有していたすべての財産です。財産調査はとても骨の折れる作業ですが、ミスや漏れがあると後々面倒なことになります。後回しにせず、早めに始めましょう。
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