相続人・遺留分 2017.11.12
知っておきたい法定相続の基礎知識
相続が発生したとき、誰が相続人になるのか、どれだけ財産を相続できるのかが気になることも多いのではないでしょうか?民法に定められた相続のルールが法定相続です。ここでは、法定相続の基本的な内容について説明します。
法定相続は民法上のルールにもとづく相続
法定相続と遺言相続
相続とは、人が亡くなったときに持っていた権利や義務を、一定の親族が引き継ぐことをいいます。相続には、法定相続と遺言相続の2つがあります。遺言相続とは遺言に従って行われる相続で、法定相続とは民法に定められたルールに従って行われる相続になります。
遺言相続は法定相続に優先する
15歳以上の意思能力のある人であれば、生きている間に遺言を作成しておくことで、自分の死後の財産の処分方法を指定することができます。亡くなった人(被相続人)が遺言を残していれば、遺言が優先し、遺言に従って相続が行われます。法定相続が行われるのは、原則として遺言がないケースになります。
法定相続人は親族の中で優先順位によって決まる
法定相続人とは
民法上定められている相続人のことを「法定相続人」といいます。法定相続人は、「配偶者相続人」と「血族相続人」という2つの種類に分かれます。
法定相続人の組み合わせとしては、配偶者相続人のみの場合、配偶者相続人と血族相続人の両方がいる場合、血族相続人のみの場合の3パターンがあります。
配偶者相続人とは
配偶者相続人とは、被相続人の配偶者のことです。被相続人の配偶者は、どんな場合でも必ず相続人になります。
血族相続人とは
血族とは被相続人と血のつながりのある親族のことです。配偶者の有無にかかわらず、被相続人の血族は、次のような優先順位で相続人になります。
第1順位 子(または孫など)
被相続人に子がいる場合には、子が優先的に相続人になり、第2順位以降の人が相続人になることはありません。
子がいたけれど既に亡くなっている場合、その子の子、すなわち被相続人の孫がいれば、その孫が代襲相続(相続権が下の世代に移転すること)により第1順位の相続人になります。
第1順位の相続人については、直系卑属であればどこまでも代襲が可能になっており、孫が亡くなっていてもひ孫が生きていれば、そのひ孫が相続人になります。
第2順位 直系尊属
被相続人の子や孫がいない場合、被相続人の父母や祖父母などの直系尊属が、近い世代から優先的に相続人になります。父母のどちらか一方でも生きていれば、祖父母が相続人になることはないということです。
第3順位 兄弟姉妹(または甥・姪)
被相続人に子や孫がおらず、父母や祖父母も既に亡くなっている場合には、兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が被相続人より前に亡くなっている場合、その子(甥または姪)がいれば代襲相続します。
第3順位の相続人については、代襲は1回のみしか認められていません。そのため、甥または姪が亡くなっていても、その下の世代に相続権が移ることはありません。
法定相続分は相続人の組み合わせによって変わる
法定相続分とは
民法では、誰が相続人になるかだけでなく、それぞれの相続人がどれだけ相続できるかという相続割合についても定めています。民法上定められている相続割合のことを「法定相続分」といいます。
法定相続分の内容
法定相続分は、相続人の種類と組み合わせによって次のように変わります。
配偶者相続人のみの場合
配偶者は1人だけですから、配偶者がすべての相続財産を相続します。
配偶者相続人と血族相続人の両方がいる場合
第1順位から第3順位のどの順位の人が配偶者と一緒に相続人になるかによって、法定相続分は次のように変わります。
ア.配偶者と子(第1順位)
配偶者2分の1、子2分の1
イ.配偶者と直系尊属(第2順位)
配偶者3分の2、直系尊属3分の1
ウ.配偶者と兄弟姉妹(第3順位)
配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
なお、血族相続人が複数いる場合には、血族相続人の相続分を均等に分割します。たとえば、配偶者と子2人(長男、次男)が相続人の場合、配偶者の法定相続分は2分の1、子については2分の1を長男と次男で公平に分けますから、各4分の1となります。
血族相続人のみの場合
血族相続人が1人の場合にはその人がすべての相続財産を相続しますが、血族相続人が複数いる場合には、各相続人で均等に分割することになります。
代襲相続人の法定相続分
血族相続人の中には、代襲相続人がいるケースがあります。代襲相続人については、代襲された人の相続分を均等に分割します。
たとえば、被相続人に配偶者、長男、次男の2人の子がいるけれど、長男は既に亡くなっていてその子2人が代襲相続人となるケースでは、長男の相続分4分の1を2で割った8分の1が長男の子1人の相続分になります。
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