相続人・遺留分 2018.02.23
孫が相続人となるケースと注意点
遺産相続においては多くの場合、配偶者と子どもが相続人となります。しかし、被相続人の子どもが被相続人の死亡より前に死亡している場合などでは、被相続人の孫が相続人となるケースがあります。
孫が相続人となる場合には、他の相続人の場合にはない複雑な事情を持った相続人となることがあります。では、孫が相続人となるケースにはどのようなものがあるのか、孫が相続人となるケースで注意するべきことは何かについて、考えていきましょう。
相続人の子ども(孫)が、代襲相続する場合
孫が相続人となるケースで多いのは、孫が代襲相続人となる場合かもしれません。
代襲相続とは、被相続人が亡くなるよりも前に相続人にあたる人が亡くなっている場合や、相続人が相続欠格事由に該当する場合に、その相続人の子どもや孫が代わりに相続人となることを意味します。
相続欠格事由とは、被相続人の遺言を故意に処分したり隠匿したり、被相続人に著しい非行を働くなどの事実があるなど、相続人としてふさわしくない行動があった場合に適用される処分です。
代襲相続は、被相続人の直系卑属と兄弟姉妹に適用されます。つまり、被相続人の子どもが亡くなっているが、被相続人の孫にあたる人は生存している場合に、孫が代襲相続人となることになります。
被相続人の直系卑属の代襲相続では、孫が亡くなっているならその子ども(ひ孫)、ひ孫も亡くなっているならその子どもと、どこまででも下の代へ繰り返し代襲することができます。
これは再代襲相続と呼ばれています。
民法第887条「子及びその代襲者等の相続権」
1.被相続人の子は、相続人となる。
2.被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。(代襲相続)
3.前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。(再代襲相続)
代襲相続は、相続放棄した相続人の子どもには発生しません。相続放棄した人は、もともと相続人ではなかったことになるためです。
被相続人の孫であり、被相続人の養子でもある場合
相続の場面では、1人の人が相続人としての地位を重複して持つことがあります。例えば、被相続人の孫であると同時に養子でもある場合です。被相続人が相続のために自分の孫を養子とすることは珍しいことではありません。
孫の親(被相続人の子ども)が被相続人よりも先に死亡してしまった場合には、孫は代襲相続人となることになります。この場合には孫は、養子という立場と代襲相続人という立場の、2つの立場を同時に持つことになります。
孫は、どちらか一方の立場を選択しなければならないわけではなく、養子として、また自分の親の代襲相続人として、両方の相続分を相続することができます。
被相続人の「養子」の子どもという立場の孫である場合
被相続人の孫といっても、被相続人の子どもが養子の場合は注意が必要です。養子である子どもは遺産相続の際に、実の子どもと何ら変わらない扱いを受けます。養子であるために相続できないとか、相続分が減らされることはありません。
しかし、被相続人の孫ではあるが、被相続人の養子の子どもであるという場合は、代襲相続人になれないケースがあります。
養子の子どもである孫が生まれたのが、被相続人が養子として迎え入れた後であれば、養子の子どもである孫でも代襲相続人になることができます。
しかし養子の子どもである孫が生まれたのが、自分の親が被相続人と養子縁組を結ぶ以前の場合、その孫は代襲相続人にはなれません。
養子の子どもである孫の生まれた時期が重要なのは、法定の血族関係と同様の親族関係が生まれるのは、養子縁組が成立したその日からであるためです。
つまり、養子縁組の前にすでに生まれている孫と被相続人との関係は直系卑属にはならないため、代襲相続人にはなれないことになります。もし、養子の子どもである孫がいるなら、この点に注意しましょう。
まとめ
孫が相続人となるケースはおもに、代襲相続人となる場合かもしれません。たとえ孫が代襲相続できないとしても、贈与などで孫へ財産を贈ることは可能です。孫との関係が複雑な場合は、専門家へ相談してみましょう。
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