相続人・遺留分 2018.04.21

相続人が兄弟のみの場合の遺産相続について

通常の遺産相続では、被相続人の配偶者や子どもが相続人となり、遺産を受け継ぎます。しかし稀に、相続人となれるのが被相続人の兄弟のみである場合もあります。
被相続人の兄弟姉妹は、遺産相続の法定相続人の中でも最下位の相続人であり、上位の相続人とは区別されている点もいくつかあります。この記事では、遺産相続で兄弟のみが相続人になる場合の相続分や遺留分、代襲相続について解説します。

記事ライター:棚田行政書士

相続人が兄弟のみの場合の相続分

遺産相続において、各相続人が取得する財産の割合は、相続分と呼ばれます。相続分については、民法で定められている「法定相続分」と、被相続人が遺言書で自由に指示できる「指定相続分」の2種類があります。

遺言書の内容は法定の事柄に優先して実行されるため、相続人が兄弟のみの場合にも、遺言書による相続分の指定があれば、それに従った遺産分割が行われます。

兄弟のみの遺産相続において、もし遺言書がないのであれば、法定相続分を目安として遺産分割がなされます。

兄弟のみが相続人となる場合の法定相続分は、遺産全体をその人数で割ったものです。2人兄弟なら遺産を半分ずつ分けることになります。4人なら1/4ずつです。

ただし、兄弟の中に異母兄弟・異父兄弟など、片親しか共通していない「半血兄弟」がいる場合には、両親ともに共通する「全血兄弟」よりも相続分が少なく割り当てられます。半血兄弟の相続分は、全血兄弟の相続分の半分になります。

 

相続人が兄弟のみの場合の遺留分

遺産相続における遺留分とは、最低でも受け取れると保証されている財産の量を指しています。遺留分の定めがあることによって、被相続人が財産の大部分を他人へ贈ってしまった場合などにも、遺族の生活がある程度守られることになります。

しかし遺留分は、被相続人の配偶者と子ども、親や祖父母などの直系尊属に限定して保証されている制度です。遺産相続で兄弟のみが相続人である場合、兄弟には遺留分はありません。

そのため、被相続人が遺言や生前贈与などで財産をほとんど処分してしまった場合には、相続できる財産がない場合もあります。

兄弟という関係は血のつながりが近いものであり、家族としての関係性もとても近いものです。それでも、相続人が兄弟のみの場合に遺留分がないことには、遺族の生活保障という遺留分の趣旨が関係しています。

一般的に考えて、成人した兄弟はそれぞれ独立し、自分の家庭を持ちます。そうなると財産は個々の力で築いていくことになるため、財産の形成や生活面において兄弟同士で依存し合うことはあまり考えられません。

他方、配偶者や子ども、直系尊属は、被相続人と生計を共にしている可能性が高く、被相続人の死亡によって生活の困窮が生じやすい関係と言えます。被相続人の財産形成に対しても、直接的または間接的に協力してきたことが考えられます。

このような背景が考慮されているので、相続人が兄弟のみの場合には遺留分がないのです。

 

相続人が兄弟のみの場合の代襲相続

本来であれば遺産相続で相続人となれたはずの人が、遺産相続が開始する前に亡くなっている場合もあります。

このような時に、遺産相続開始前に亡くなってしまった相続人の子どもなどが代わりに相続人となる場合があります。これが「代襲相続」と呼ばれるものです。代襲相続で新しく相続人となる人のことは、代襲相続人と呼ばれます。

兄弟のみが相続人となる遺産相続においても、兄弟自身がすでに亡くなっている場合はその子ども、つまり被相続人から見た甥や姪が代襲相続人となることができます。被相続人の甥や姪もすでに亡くなっており、甥や姪の子どもがいる場合もあります。

しかし相続人が兄弟のみの場合は、甥や姪のさらに下の代には代襲相続の権利が移行しません。代襲相続人は、親である本来の相続人が取得するはずだった相続分をそのまま相続できます。

相続人が兄弟のみの遺産相続で兄弟の子どもが代襲相続人となった場合、代襲相続人が一人きりなのであれば、その人がすべての遺産を取得できます。代襲相続人が複数人いる場合は、人数で分割されます。

 

まとめ

遺産相続で兄弟のみが相続人となるケースは稀なことではあります。この場合、配偶者や子ども、直系尊属には認められている権利も、兄弟のみの場合は認められないことが多々あります。

血のつながりは深くても遺産相続では何かと制約があり、少し遠い存在の相続人になってしまうのが、兄弟のみの遺産相続の特色でもあります。

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