相続人・遺留分 2020.11.27
相続の割合に納得がいかない!相続で揉めないために知っておきたい遺留分の割合
被相続人の配偶者や子供などの相続人が持つ、相続の権利の1つに「遺留分権」があります。各相続人の相続割合については民法での定めがありますが、遺言や生前贈与等で割合を指定された場合、最低限確保できる遺留分を主張することができるのです。
ここでは、遺留分について計算方法や立場別の違いについて説明していきます。
遺留分の計算シート作成の基本情報
特定の相続人が「最低限相続できる分」を示したものを遺留分割合といいます。
計算シートを作成して確認する等、遺留分とその計算方法を理解しておきましょう。
民法第1413条には「遺留分を算定するための財産の価額」という項目があり、これに基づいて、遺留分計算のもとになる相続財産について確認することが必須です。
相続開始時に存在している総財産から、債務等のマイナス財産分を差し引いた額を基準としますので、間違えず計算を進めてみましょう。
また、民法第1412条には「遺留分の帰属及びその割合」という項目があり、これにより遺留分割合が明らかにされています。
法定相続人が被相続人の親等の直系卑属である場合は、民法1413条で求めた遺留分の基準となる財産の3分の1、また、それ以外の配偶者や子の場合は、2分の1が遺留分となる点に注目しましょう。
正しく遺留分を請求するためには、財産の把握と計算が重要であることは言うまでもありません。
遺留分割合が充てられる相続人とその割合については、以下のように整理してみるととても分かりやすくなります。
1:法定相続人が被相続人の子供のみの場合は、基準となる相続財産の2分の1
2:法定相続人が被相続人の配偶者と子供の場合は、基準となる相続財産の2分の1
3:法定相続人が被相続人の配偶者と親等の直系卑属の場合は、基準となる相続財産の2分の1
4:法定相続人が被相続人の親等の直系卑属の場合は、基準となる相続財産の3分の1
遺留分割合を実際に求める場合は、相続財産に対する遺留分割合に法定相続分を乗じて算出します。例えば、基準となる相続財産が2,000万円で、相続人が配偶者のみの場合、2,000万円×1/2=1,000万円が配偶者の遺留分となるのです。
被相続人の子供が複数人数いる場合の遺留分
被相続人の子供の遺留分割合は2分の1ですが、もし子供が3人いた場合はどうなるでしょうか。仮に、遺留分が認められる法定相続人が配偶者と子供3人だった場合、その遺留分割合は以下のようになります。
配偶者と子供の遺留分割合は、それぞれ相続財産の2分の1ずつ、これを配偶者と子供でさらに分け合うことになるので、計算時は注意が必要です。したがって、各々の遺留分は以下の通りとなります。
1:配偶者の遺留分割合は、1/2×1/2=1/4
2:子供3人の1人当たりの遺留分割合は、1/2×1/2×1/3=1/12
仮に、相続財産が4,500万円あった場合、配偶者の遺留分は「4,500万円×1/4=1,125万円」となり、子供1人あたりの遺留分は「4,500万円×1/12=375万円ずつ」であることがわかるでしょう。
被相続人の孫が代襲相続する場合の遺留分
万が一、被相続人の子供がすでにお亡くなりになっていた場合は、被相続人の孫が子に代わり財産を相続することになり、これを代襲相続といいます。
代襲相続すると子と同じ権利を持つことから遺留分も認められており、先に述べた「子の遺留分割合1/2」が孫にも同様に割り当てられるので、正しく理解することが大事です。
法定相続人が孫だけの場合は、遺留分割合は相続財産の1/2となります。また、被相続人の配偶者と孫が遺留分を求める場合は、「配偶者は相続財産の1/4」「孫は相続財産の1/4」を相続できる権利を持つので、覚えておきましょう。
仮に相続財産が4,500万円で、遺留分を請求しようとしているのが被相続人の配偶者と孫1人だった場合はどうでしょうか。配偶者と孫で割合を分け合う形になるため、配偶者は「4,500万円×1/4」分を、孫も「4,500万円×1/4」分を請求する権利を持つことになります。
まとめ
代襲相続という考え方があることから、万が一、被相続人の子供がすでにお亡くなりになっていたとしても、孫が子の権利を引き継いでくれます。
遺言による相続財産の分配状況や、生前贈与された財産分等、相続財産には調整の必要な要素が多々あり、中には法定相続人でも遺留分の侵害という事態が起こることもあるかもしれません。
そのような場合はきちんと遺留分の主張を行うことで、遺留分割合に基づく分配を求めていくことが大切なのです。
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