遺言 2018.03.23
遺産相続における公正証書遺言とは?
遺産相続では、相続人の間で遺産の分割方法を巡って争いが起きることがあります。しかし、法定効力を持つ遺言書があるとしたら、遺産相続は非常にスムーズに進むことになります。
遺言書にもいろいろな種類がありますが、最も安全で確実に遺言執行されるのが、遺産相続における「公正証書遺言」です。ここでは、遺産相続において有効な公正証書遺言について、その作成手順とともに解説していきます。
遺産相続において公正証書遺言書を作成しておくことの意義
遺産相続で大きく争うことになってしまった家族、被相続人のほとんどが、自分たちに限って遺産相続で争うことなどあるはずがないと考えていたことでしょう。
しかし、どんなに仲の良い家族であっても、遺産相続をきっかけにお互いにいがみ合い、大規模で長期の遺産相続トラブルを起こしてしまう可能性はあります。
遺産相続の争いは起きなくても、遺産相続で一部の相続人が遺産を独占してしまい、配偶者や他の子どもたちが住む場所や本来の相続財産を取り上げられるケースもあります。
このような遺産相続のトラブルすべては、公正証書遺言などの遺言書があれば解決できたはずの問題です。
まだ元気な時から死んだ後のことなど考えたくない気持ちも当然ですが、大切な家族を無用なトラブルから守ることが、遺言書の最大の意義です。
遺産相続に関して特に指定したいことがないとしても、法定相続分に従って遺産相続するようになど、一言でも遺産相続に関する自分の意向を遺言書にして遺しましょう。
公正証書遺言とは?
遺産相続における遺言書として最も手軽で一般的なのは、遺言者が自筆で作成する「自筆証書遺言」でしょう。いつでも自分の書きたい時に作成できて、費用も証人も不要です。
ただし、自筆証書遺言を遺産相続において効力を持つものとするためには、民法の細かい規定に従った書式で作成しなければならず、内容の不備やミスなどでしばしば遺産相続において無効となってしまうという欠点があります。
さらに、自筆証書遺言は保管も自分自身で行うため、いざ遺産相続が始まっても家族に見つけてもらえなかったり、見つけられても偽造や破棄をされたりする可能性もあり、リスクをはらんだ遺言書でもあります。
そんな自筆証書遺言の欠点をカバーする遺言書が、遺産相続における公正証書遺言です。公正証書遺言は法律、特に遺言書作成に関する法律のエキスパートである公証人によって作成されるため、不備やミスの恐れがありません。
遺産相続の公正証書遺言を作成する人は遺言の内容を公証人に伝えるだけで良く、あとは公証人が正確に公正証書遺言を作成してくれます。
また遺産相続における公正証書遺言は、遺言書の保管も公証役場で行われるため、遺産分割協議まで確実に、安全に保管されることになります。自筆証書遺言と違い、遺産相続開始後の家庭裁判所での検認手続きも必要ありません。
このため、公正証書遺言は遺産相続において最も確実で安全な方式の遺言書と言われています。それなりの手間や費用は必要になりますが、その分遺産相続開始後の相続は非常にスムーズに進みます。
遺産相続での公正証書遺言の作成の流れ
では、遺産相続での公正証書遺言を作成する時の具体的な手順をご紹介します。
1.遺言したい内容をまとめる
公正証書遺言の作成は公証人がしてくれますが、その中身は自分自身で考えておく必要があります。まずは、遺産相続で公正証書遺言にして遺したい内容を考えて整理しておきましょう。
公正証書遺言を作成する公証人がその内容を見て、遺産相続において問題があるようならアドバイスしてくれます。
2.証人になってくれる人を、2人以上探す
公正証書遺言を作成する際には公証人の他に、2人以上の証人の立ち合いが必要です。信頼のおける友人や利害関係のない親族の他、弁護士や司法書士などの第三者にも依頼することができます。
3.公証役場での打ち合わせ
遺言する内容と証人が決まったら、具体的な打ち合わせに入ります。公証役場に直接行くこともできますが、電話などでも打ち合わせできます。
遺産相続での公正証書遺言の内容は、この段階でほぼ固まってくるはずです。自分の意思に沿った内容になっているか、繰り返し確認しましょう。
4.公正証書遺言の作成当日
公証人に指定された期日になったら、証人と一緒に公証役場に行き、遺産相続の公正証書遺言を作成します。
公証人が公正証書遺言の内容を読み上げ、遺言者と証人が内容を確認して署名押印をし、最後に作成した公証人が署名押印することで、公正証書遺言は完成となります。
まとめ
公正証書遺言は、公証役場という第三者に遺言書を預けることで、遺産相続における安全と確実さを得ることのできる遺言方法です。遺産の額が1億円以下なら、5〜6万円程度の費用をかければ、公正証書遺言を作成できます。
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