遺言 2018.06.07
遺言のトラブルの例と解決方法とは?
相続トラブルを予防するために、遺言を作成する方法があります。しかし、トラブル予防のための遺言が、逆にトラブルの原因になってしまうこともあります。ここでは、遺言トラブルの例や解決方法について説明します。
遺言の有効性をめぐるトラブル
遺言は必ず有効とは限らない
法定相続人に法定相続分での相続をさせたくない場合、遺言を残しておけば、希望どおりの相続が実現します。ただし、遺言があればそれで安心というわけではありません。遺言は必ず有効とは限らず、無効となってしまうことがあるからです。
トラブル防止のためには公正証書遺言がおすすめ
遺言にはいくつかの方式がありますが、通常利用されるのは、自筆証書遺言か公正証書遺言になります。遺言が無効になってしまうトラブルを防ぐためには、公正証書遺言を作成した方が安心です。
自筆証書遺言は手軽に作成できますが、日付、自書、署名、押印などの形式的要件をみたしていなければ無効になってしまうリスクがあります。公正証書遺言は公証人が作成するため、形式面で無効になる心配はありません。
公正証書遺言の有効性でトラブルになるケース
公正証書遺言は形式面では無効になる心配はありませんが、遺言の有効性をめぐってトラブルになることはあります。よくあるのは、遺言者が認知症であったというケースです。遺言時に既に認知症になっていた場合、遺言能力がないことになり、遺言が無効になってしまう可能性があります。
遺言の有効性でトラブルになった場合の解決方法
遺言の有効性をめぐってトラブルになった場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて、当事者間の話し合いで解決する方法があります。調停が不成立になった場合には、裁判所に遺言無効確認請求訴訟を起こし、裁判所の判断を仰ぐことになります。
遺留分を無視した遺言のトラブル
遺留分減殺請求によりトラブルになることがある
遺言により、相続人の遺留分が侵害されることになった場合、相続人は遺留分減殺請求を行って、遺留分を取り戻すことができます。遺言により特定の相続人だけに相続させたり、相続人以外の第三者に遺贈を行ったりした場合、遺留分をもつ相続人から減殺請求され、トラブルになることが考えられます。
遺留分を確保した内容の遺言にしてトラブルを予防する
遺言を残す場合には、死後に遺留分をめぐってトラブルにならないように、相続人の遺留分を確保した内容にするのが安心です。
たとえば、相続人が妻と息子の2人である場合、法定相続なら妻と息子が2分の1ずつ財産を取得することになります。妻にできるだけ多く財産を相続させたい場合、息子には遺留分である4分の1を相続させる旨の遺言を書いておけば、遺留分減殺請求される心配はなくなります。
生前の遺留分放棄によりトラブルを防ぐ方法もある
遺留分をもつ相続人も、相続開始前に家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分の放棄をすることができます。遺留分放棄をした相続人は、自己の遺留分が侵害されても、遺留分減殺請求ができません。遺言書を作成するときに、相続人に同時に遺留分放棄の手続きをしてもらうことで、死後のトラブルを予防できることがあります。
ただし、遺留分放棄の許可を受けるためには、遺留分放棄が相続人の真意にもとづくものであっったり、必要性や相当性があったり、相続人に代償が与えられていたりするなどの基準をみたさなければなりません。
遺言の解釈をめぐるトラブル
内容が不明確でトラブルになることがある
遺言が形式的に有効であっても、遺言の解釈をめぐってトラブルになることがあります。遺言の内容が不明確であれば、希望したとおりの相続が実現しないこともあり得ます。特に、自分だけで自筆証書遺言を書いた場合には、内容が不明確になってしまうリスクが高くなります。
財産を正確に特定してトラブルを防止
遺言を書いたけれど、どの財産に関することかが明確に記載されていなければ、相続人間でトラブルになってしまいます。遺言を作成するときには、財産の内容を正確に特定することを心がけましょう。たとえば、不動産に関する内容を書く場合には、登記事項証明書どおりの表示を記載し、不動産を特定する必要があります。
遺言を作成するなら専門家のチェックを受ける
遺言を作成するときには、行政書士や弁護士などのチェックを受けるのがおすすめです。専門家のチェックを受けることで、トラブルを予防できます。行政書士や弁護士には守秘義務がありますから、遺言の内容が漏れる心配もありません。公正証書遺言を作成する場合には、証人になってもらえるというメリットもあります。
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