遺言 2018.06.08

遺言を形式のミスで無効にしないために気を付けたいこと

将来の相続トラブルに備えて、遺言を残しておきたいと考える方も多いと思います。遺言は形式的な要件をみたしていなければ無効となってしまいますから、注意しておかなければなりません。ここでは、遺言を形式面で無効にしないために気を付けたいことを説明します。

記事ライター:ゆらこ行政書士

自筆証書遺言は形式的な要件をみたしていなければ無効

自筆証書遺言と公正証書遺言

遺言は、どんな形で作成してもよいわけではなく、民法に定められた方式に則って作成する必要があります。一般に利用されている方式は、自筆証書遺言と公正証書遺言です。

自筆証書遺言は、自分で手書きして作る遺言で、思いついたときに作成することができ、費用をかけずに作成することも可能です。一方、公正証書遺言は公正証書の形で作成する遺言で、公証人に依頼して作成してもらうものですが、自筆証書遺言に比べると手間や費用がかかります。

形式面で無効になる心配がないのは公正証書遺言

遺言は、法律に定められている形式的要件をみたしていなければ、無効になります。形式面で無効にならないようにするには、公正証書遺言を作成するのが安心です。公正証書は、公務員である公証人が職務上作成した文書で、形式的証拠力があるとされています。つまり、公正証書遺言は、形式面で無効になる心配がないということです。

自筆証書遺言は形式的要件に配慮して作成する必要がある

自筆証書遺言は自分で作成するため、民法で規定されているとおり、形式面に忠実に作成しなければ、無効になってしまうリスクがあります。自筆証書遺言の形式的要件は、うっかり見落としてしまうこともありますから、できれば形式面を専門家にチェックしてもらうのが安心です。

 

自筆証書遺言の4つの形式的な要件

4つの形式的要件に注意して作成する

自筆証書遺言の形式的要件は、次の4つになります。形式的要件をみたしていない場合、法律的に有効な自筆証書遺言とはならないため、十分注意して作成する必要があります。

全文を自書する

自筆証書遺言は、全文を自分で手書きしなければ、形式的に無効となります。他人に代筆してもらってはならず、自分の手で書かなければなりません。録音したり、ビデオ(動画)撮影したりした遺言も、法律上は無効です。内容をパソコンやワープロで作成し、氏名だけ自書しても無効になってしまいます。

日付を自書する

作成日を手書きで記載する必要があります。年号は和暦でも西暦でもかまいませんが、具体的な日まで特定しなければなりません。「平成○○年○月吉日」という記載は、判例上無効とされています。

氏名を自書する

遺言には自分で署名しなければなりません。氏名は戸籍上のものと一致していなくても、同一性が認められればOKとされています。氏名の記載がない場合には、筆跡から書いた人を特定できたとしても、遺言は形式的に無効となってしまいます。

押印する

遺言には、印鑑を押す必要があります。押印する印鑑は、印鑑登録をした実印でなくてもかまいません。ただし、スタンプ式の印鑑は避けた方がよいでしょう。

自筆証書遺言では加除変更の形式も決まっている

自筆証書遺言は手書きで作成しますから、途中で書き間違えてしまうこともあります。書き間違えて訂正したい場合、加除変更の形式が決まっていますから、その際には注意しなければなりません。

民法で定められている自筆証書遺言の加除変更の方法は複雑で、間違えてしまう可能性もあります。修正が形式的に無効になれば、変更前の遺言のままとされてしまいます。修正を行わなければならなくなった場合には、一から書き直した方が無難です。

 

遺言の形式をめぐって紛争になった場合

争いになったら調停で解決することも可能

自筆証書遺言には厳格な形式的要件があります。相続時に「遺言が形式的要件をみたしていないのではないか?」ということで、争いになってしまうこともあります。遺言が形式的に無効かどうかについて、相続人間で意見が分かれたときには、家庭裁判所に調停を申し立てて意見の調整を図ることができます。

最終的には遺言無効確認請求訴訟で解決

遺言の有効性について調停でも解決しない場合には、遺言無効確認訴訟を提起し、裁判で解決することができます。遺言無効確認訴訟は、遺言の無効を主張する相続人が原告となり、遺言の有効を主張する相続人や受遺者を被告として、被告の住所地または被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所に提起することになります。

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