遺言 2018.06.10

遺言の法的効力とは?

自分が亡くなった後に、自分の財産をどうしてほしいかについては、遺言を書いて指定することができます。ただし、遺言は作成方法に気を付けなければ、法的効力を持たなくなり、作成した意味がなくなってしまうことがあります。ここでは、遺言の法的効力について説明します。また、遺言に法的効力をもたせる方法についても知っておきましょう。

記事ライター:ゆらこ行政書士

形式的要件をみたしていない遺言は法的効力がない

遺言には形式的な要件がある

遺言を書くときに、まず気を付けないといけないのは、形式的な要件をみたしていなければならないということです。遺言は、どのような形で書いても法的効力を持つわけではありません。民法では、「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、法的効力を持たせることができない」と定められています。遺言に法的効力を持たせるには、民法のルールに従って作成しなければなりません。

公正証書遺言は形式面で法的効力を失うことはない

遺言にはいくつかの方式がありますが、一般に利用されているのは、自筆証書遺言か公正証書遺言になります。このうち、形式面での法的効力が問題になるのは、自筆証書遺言になります。公正証書遺言は公文書として作成されるため、形式的要件をみたさず法的効力がなくなるといったことはありません。

自筆証書遺言の形式的要件

自筆証書遺言は、自分で全文、日付、氏名を手書きし、押印して作成しなければならないとされています。パソコンで作成したもの、他人に代筆してもらったもの、録音・録画したものなどは遺言としての法的効力を持ちません。夫婦共同で作成した遺言も法的効力はなしとされます。

エンディングノートには法的効力はない

遺言とともに活用されているものに、エンディングノートがあります。エンディングノートは、自分にもしものことがあった場合に備えて、家族などに伝えたいことを記載しておくものです。

エンディングノートは遺言書ではないため、エンディングノートに記載したことには法的効力もありません。ただし、エンディングノートに自分の希望を書いて残しておけば、死後に自分の希望を尊重してもらえる可能性はあります。

 

遺言に書いて法的効力をもつ事項

法定遺言事項とは

遺言には基本的に何を書いても自由ですが、書いたことがすべて法的効力を持つわけではありません。書いて法的効力を持つ事項(法定遺言事項)は、次のとおりです。

相続に関する事項

推定相続人の廃除・取消、相続分の指定、特別受益者の相続分に関する指定、遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止、共同相続人間の担保責任の定め、遺贈の減殺方法の指定などになります。

財産処分に関する事項

包括遺贈・特定遺贈、一般財団法人の設立、信託の設定などになります。

身分に関する事項

認知、未成年後見人・未成年後見監督人の指定などになります。

遺言執行に関する事項

遺言執行者の指定などになります。

その他

祭祀承継者の指定、保険金受取人の指定などになります。

付言事項とは

遺言には、法的効力を持つ事項以外を記載することも可能です。遺言に書いても法的効力を持たない事項を「付言事項」といいます。付言事項は、葬儀の希望や残された家族へのメッセージを伝えるのに活用されています。遺言の内容により、相続人の中に不満を持つ人が現れることが予想される場合には、付言事項で理由を説明することにより、納得が得られることもあります。

 

法的効力をもつ遺言を作成する方法

公正証書遺言がおすすめ

遺言を残す以上、法的効力がなければ意味がないということもあります。自筆証書遺言は形式面で無効になってしまう可能性があるため、公正証書遺言にした方が安心です。

ただし、公正証書遺言にすれば、どんな場合でも必ず法的効力を持たせられるわけではありません。たとえば、遺言者が認知症の場合には、公正証書遺言を作成しても法的効力なしとされてしまう可能性があります。

「遺言なんてまだ早い」と考えてしまう人もいると思いますが、遺言は判断能力のあるうちに作成しておいた方が安心です。

作成の際に専門家のサポートを受ける

遺言を作成するときには、自分だけで内容を考えるのではなく、行政書士などの専門家のサポートを受けながら具体的な内容を決めるのがおすすめです。せっかく遺言を作成しても、記載に不備があれば、法的効力がなくなってしまうことがあります。専門家に相談することで、遺言以外も含めたトータルな相続対策が可能になるというメリットもあります。

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