遺言 2017.10.04

遺品整理で遺言書を見つけたら…?知っておきたい検認手続きの基礎知識

故人の遺品整理をしていて、予期せず引き出しから「遺言書」と書かれた書き置きが出てきたとします。
「内容を確かめなければ。」
「家族を呼ばないと。」
「これは本当に遺言書なのだろうか。」
「不都合な内容が書いてあるから燃やしてしまおう。」等、
様々な考えが頭の中に浮かぶことでしょう。ここで、場合によっては最初にしなければならない手続に「検認」があります。
この記事では、相続人が遺言書を見つけた場合に採るべき「検認」手続及び開封手続について解説していきます。 
なお、遺言書を燃やすことは犯罪(私文書毀棄罪)であるうえ、相続欠格事由にもあたります。ご注意ください。

記事ライター:今井弁護士事務所

そもそも「遺言書」なのか

遺言書と書かれた書き置きが出てきてからといって、それが必ずしも法律上の「遺言書」、すなわち被相続人の意思を強制的に実現する法的効果を有する書面であるとは限りません。法律上の「遺言書」には一定の決まった様式が求められています。その様式を満たさない遺書は、たとえ表題に遺言書とあったとしても単なる故人から遺族に向けた手紙にすぎず、「遺言書」としての法的効力が認められないのです。

 

遺言書の方式 遺言書には以下の3つの方式があります。

①自筆証書遺言  他人の関与なしに容易に作成できる遺言書です。代筆不可(自書)、日付の記載、押印等厳しい様式が要求されています。

②公正証書遺言  公証役場で公証人に書いてもらう遺言書です。証人が必要となりますが、確実性があります。

③秘密証書遺言  文書を自分で作成し、公証役場に持ち込む形でつくる遺言書です。遺言の内容を全員に対して秘密にできることから、「秘密」証書遺言と呼ばれます。ただし、手続が煩雑なうえ、費用もかかる点には注意が必要です。

これらのほかに、特別方式と呼ばれる方式もありますが、死が差し迫り上記①~③の方式で遺言をする余裕がない場合のための例外的なものですので、ここでは割愛します。

 

検認をお忘れなく

ここで気を付けるべきことは、①自筆証書遺言と③秘密証書遺言については、家庭裁判所の「検認」を受ける必要があるということです。

「検認」とは、遺言書の存在と状態について裁判所の御墨付きをもらう手続を意味します。変造・隠匿等により後日遺言書をめぐって争いが起きぬよう、遺言書が確かに存在すること、いかなる内容であるのか等を裁判所という公権力のもとで確認するのです。

この検認を経ずに遺言の執行を行なった場合には、5万円以下の過料に処されることになります。また、検認を得ない自筆証書遺言に基づき登記申請をしても受理されません。さらに、検認をしないことが「隠匿」であるとみなされ、相続人欠格事由があるとして相続ができなくなる場合もあります。

遺言書のようなものを見つけた場合には、この「検認」が必要な遺言書であるのかどうかという点も含めて、専門家に相談することをおすすめします。

なお、検認はあくまでも証拠保全手続であり、検認があったからといってその遺言が有効であることまでも確認するものではありません。そのため、検認がされた遺言であっても無効となることはありますので、ご注意下さい。

 

勝手に開封してはいけない

また、発見した遺言書に封がされていることもあります。すぐさま中身を確認したくなるとは思いますが、決して家庭裁判所の関与なく開封しないでください。封印のある遺言書は、検認手続時に相続人・その代理人の立会いのもと開封する必要があります。勝手に開封してしまうと5万円以下の過料に処されてしまいます。

やはり、上記検認手続と同様、遺言書が散逸しやすいことを踏まえ、家庭裁判所という公権力のもとで遺言書を確認することにより、遺言書をめぐる将来の争いを未然に防ごうとしているのです。

 

終わりに

以上、遺言書とおぼしきものが見つかった場合の手続について解説してきました。

「検認」という言葉は聞きなじみがない、という方が多かったのではないでしょうか。

「自筆」の遺言書をみつけたときには、「検認」の手続を怠ることがないよう注意して頂ければと思います。 「自筆」とした通り、実は②公正証書遺言であれば「検認」の手続を経る必要はありません。公正証書遺言は、公証人といういわばその道のプロが書いた遺言書で、信用力が他の遺言書とは桁違いに高いのです。そのため、「検認」手続は必要ありません。また、公証役場に遺言書の記録が残っているため滅失のおそれがありません。冒頭で触れたような遺言書が燃やされるという事態が仮にあったとしても、対処がしやすいです。 公証役場は都内で40か所以上もあり、身近に存在する公務所です。

残された遺族のことを考えるならば、確実で「検認」手続も不要な公正証書遺言を用いることをお勧めします。

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