贈与・生前贈与 2018.02.17

生前贈与で将来の遺産相続をスムーズに

遺産相続ではたいてい、複数の相続人がいます。遺産相続する相続人が複数いるものの、遺言書がない場合には、遺産相続した遺産をどのように分けるかを相続人全員で協議しなければなりません。

しかし、遺産相続した遺産を相続人全員が納得する仕方で分けることは、簡単なことではありません。早めに遺産相続の生前贈与を進めておくことは、将来必ず発生することになる相続をスムーズに進めるための大きな助けになります。

記事ライター:棚田行政書士

生前贈与で遺産相続がスムーズに進む理由

1.相続財産の額を減らしておくことで、相続税の節税ができる

生前贈与にも贈与税はかかりますが、贈与税の非課税枠を意識して生前贈与するなどして、配偶者や子どもの将来の遺産相続分を減らしておくことができます。

遺産相続する遺産の総額が少なければ、相続税の節税にもなります。相続税の計算は、遺産相続する遺産の額が多ければ多いほど複雑になってしまいますから、遺産の額が少なければそれだけ家族は助かるかもしれません。

状況が許すなら、遺産相続させる財産を相続税の基礎控除額内に収めるようにすることも検討できるかもしれません。

2.早めの生前贈与によって、若い世代が有意義に資産を利用できる

子どもなどの若い現役世代は、事業を起こしたり継続するため、またマイホームを取得したり教育費用を工面するなど、生活のあらゆる面で何かとお金が必要であるケースも多いでしょう。

そのため、すでに仕事をやめて遺産相続をひかえる立場になっているなら、まだ元気なうちに計画的に遺産相続分の生前贈与を行っておくことは賢明でしょう。

続く部分でさらに詳しく取り上げますが、名目や方法によっては、贈与税をほとんど、あるいは全くかけずに若い世代へ生前贈与することができます。

3.事業の後継者に事業用資産を移行させることで、資産が有効に活用される

何らかの事業を営んでおり、子どもなどに事業を譲る場合は、土地や建物や事業用の機械などの資産を生前贈与することも、遺産相続をスムーズに進めるために効果的です。

もちろん生前贈与ではなく、遺産相続が始まってから渡すこともできますが、建物や機械など、事業用資産の中には経年劣化が生じるものも少なくないかもしれません。また、現時点でも事業が行われているなら、事業の後継者としては今の段階で、すでにそれらの資産を必要としているかもしれません。

さらに事業用資産は、遺産相続において分割することが難しい遺産にも分類されています。このようなわけで、事業の後継者へ遺産相続分を生前贈与を行っておくことも、スムーズな相続につながると言えます。

 

遺産相続をスムーズにするためにできる生前贈与の例

では具体的に、遺産相続に備えて行える生前贈与の例をご紹介します。

1.暦年課税の基礎控除額を利用した生前贈与

贈与税には、生前贈与される人一人につき年間110万円という基礎控除額があります。財産がそれほど多くない場合には、この基礎控除額の枠内で少しずつ生前贈与しておくことも遺産相続の対象になる財産を減らす点で効果的です。

デメリットとして、遺産相続開始から3年以内の生前贈与分については基礎控除額の分も含め、相続税の課税対象財産と見なされてしまいます。また、一度に多額の財産を移行させることが難しいという点もあります。

2.生命保険を効果的に活用する

直接的な生前贈与ではありませんが、生命保険金という形で遺産を残すことも遺産相続をスムーズに進める手段のひとつとなります。

生命保険金には、500万円×法定相続人の数で算出される非課税枠があり、この枠を意識した保険金の設定をするなど工夫することにより、将来家族が支払うことになる相続税を節税することもできます。

3.住宅資金贈与など

父母または祖父母といった直系尊属から住宅取得などのために生前贈与を受けた場合、高額の控除が適用されます。控除額は、住宅を取得した時期や住宅の種類により異なります。

若い世代のためにできる生前贈与には他にも、教育資金贈与(1,500万円まで、平成31年3月末まで)や、結婚子育て資金贈与(1,000万円まで、平成31年3月末まで)などがあります。

生前贈与で利用できる種々の控除制度は、現役世代へ財産を移行させやすくすることを想定したものでもあります。

 

生前贈与は早めの対策が重要

生前贈与をすると、遺産相続で課税対象となる遺産の額を減らすことができるため、遺産相続の当事者になる家族のためにもなります。遺産相続開始3年前までの生前贈与は、相続税の課税対象となってしまいます。遺産相続などまだ先とは考えずに、早めに生前贈与を始めておきましょう。

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