贈与・生前贈与 2017.10.04

生前贈与を現金で行う際の注意点

相続税対策のため生前贈与を考えることは多いと思います。生前贈与を現金で行う場合、気を付けておかなければ節税効果がなくなってしまうことがあります。ここでは、生前贈与を現金で行う際に注意しておきたい点についてまとめています。

記事ライター:ゆらこ行政書士

生前贈与で現金を手渡ししても大丈夫?

・現金の手渡しは証拠が残らない

相続税対策の生前贈与では、現金が相手に贈与された証拠を残しておく必要性が高くなります。生前贈与した相手が現金を持っているだけなら、借りたお金なのかもらったお金なのかもわかりません。現金の手渡しは証拠が残りにくいので、できるだけ避けた方が無難です。

・少なくとも贈与契約書は作成しておく

やむを得ず現金を手渡しで贈与する場合には、必ず贈与契約書を作っておきましょう。贈与契約書を作成することで、贈与の証拠を残すことができます。贈与契約書を公証役場に持って行って確定日付を取っておけば、その日付の時点で契約書が存在したことの証明になります。

 

生前贈与した現金を預金口座に入金する場合には?

・振込なら現金の手渡しよりも安心

現金を生前贈与する場合には、手渡しよりも預金口座を利用した方がよいでしょう。預金口座から引き出した現金を手渡ししたのでは、贈与の証拠が残りません。自分の預金口座から相手の預金口座に振込することで、明確な証拠を残すことができます。

・名義預金は贈与にならない

親が子どもの預金口座に振込していても、実質的に親がその預金を管理している場合には、親が子どもの名義を借りて預金しているものとみなされてしまいます。このような預金は、名義預金と呼ばれます。名義預金は贈与にならず、親の財産とされて相続税の課税対象となってしまいます。

・預金口座に入金する場合の注意点

親が子どもに生前贈与する現金を預金口座に入金する場合には、名義預金とされないよう、次のような点に気を付けておく必要があります。

①カードや通帳は子どもが管理

贈与というためには、贈与を受けた人がその現金を自由に使える状態でなければなりません。親が子ども名義の預金口座の通帳やカード、印鑑などを管理していれば、子どもは自由にその預金を引き出して使うことができませんから、贈与といえなくなってしまいます。

②子どもが自分で開設した預金口座に入金

親と子が離れて住んでいる場合、親の住所近くの支店の口座に入金すれば、親の財産とみなされる可能性が高くなります。子ども自身が開設した子どもの住所近くの支店に入金するのがおすすめです。

③贈与契約書を作成

預金口座を利用して現金の贈与を行う場合にも、贈与契約書を作っておくと安心です。贈与契約書を作成することで、名義預金ではなく贈与であることを明確にすることができます。

 

生前贈与する現金の金額はどうする?

・贈与税の基礎控除枠を活用

生前贈与する際に贈与税の負担が大きくなれば、相続税対策をする意味がなくなってしまいます。贈与税には110万円の基礎控除があり、贈与額が年間110万円以下の暦年贈与なら贈与税がかかりません。110万円を超える金額を贈与したい場合でも、基礎控除額の範囲内で年度を分けて贈与すれば、非課税にできることになります。

・連年贈与とならないような対策が必要

たとえば、毎年同じ時期に100万円の贈与を10回行った場合、1000万円を分割して贈与したものとみなされ、1000万円について贈与税が課されてしまうことがあります。このような贈与は、連年贈与や定期贈与と呼ばれます。基礎控除枠を活用して暦年贈与をする場合には、贈与額や贈与時期を毎年変えるほか、毎回贈与契約書を作成しておくとよいでしょう。

・子や孫の生活費や教育費なら金額を気にしなくてもいい

夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものについては、贈与税はかかりません。子や孫に必要な金額を必要な都度渡すのであれば、基礎控除枠を超えても贈与税を気にせずにすみます。

たとえば、孫の習い事の月謝、高校や大学の授業料、教材費などを払った場合には、贈与税はかかりません。ただし、受け取った孫がそのお金を使わず預金した場合には、贈与税の課税対象になってしまいます。生前贈与した現金が目的どおり使われたことの証拠を残すためには、学校などの支払先に直接振り込んだ方がよいでしょう。

・子や孫への贈与は非課税特例も活用

子や孫へ現金を贈与する場合、受け取った側が使う目的によっては以下のような非課税特例が利用できることがありますので、検討してみましょう。

①住宅取得資金の非課税特例

最大1200万円(※時期等により変わる)が非課税になります。

②教育資金の一括贈与の非課税特例

最大1500万円が非課税になります。

③結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例

最大1000万円が非課税になります。

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