贈与・生前贈与 2017.10.04

贈与税の基礎控除を活用した相続税対策

贈与税には基礎控除の110万円があるので、年間110万円までなら非課税贈与ができます。贈与税の非課税枠を利用して毎年少しずつ贈与を行えば、相続税の負担を大きく軽減することも可能になります。贈与税の基礎控除を活用した相続税対策の仕方や注意点をまとめました。

記事ライター:ゆらこ行政書士

贈与税の基礎控除を利用すれば節税できる

・贈与税の基礎控除とは

財産の贈与が行われたとき、贈与された側には贈与税がかかります。贈与税の税率は贈与額が大きくなるほど高くなり、最高では55%の高税率となっています。

贈与税を計算するときには、1月1日から12月31日までの1年間に贈与により取得した財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた残りの金額に税率をかけます。つまり、年間110万円までなら、贈与を受けても贈与税がかからないということです。

・暦年課税と相続時精算課税

贈与税には、毎年110万円を超える贈与に課税される「暦年課税」のほかに、「相続時精算課税」という課税方法もあります。相続税精算課税は、以下の要件をみたした場合に利用ができます。

①贈与する人が60歳以上

②贈与される人が20歳以上

③子または孫への贈与であること

相続時精算課税を選択した場合には、1年間に贈与を受けた金額から2500万円の特別控除額を差し引いた残額に20%の税率をかけて贈与税額を算出します。そして、相続発生時には贈与財産を含めて相続税額を計算し、既に支払った贈与税額を差し引いた額を納付します。なお、一度相続時精算課税を選択すると、同じ相手からの贈与については、暦年課税に戻すことはできません。

・相続税対策には暦年贈与がおすすめ

相続時精算課税では、2500万円までの非課税贈与が可能になります。しかし、相続発生時には贈与財産は相続財産に加算されるため、相続税の節税にはつながりません。一方、原則どおりの暦年課税で「暦年贈与」を継続すれば、相続財産を減らして相続税の節税が可能になります。

年間110万円の非課税枠を最大限利用すると、10年で1100万円、20年で2200万円を非課税で贈与することができます。また、非課税枠は贈与を受けた人ごとに適用されますから、贈与する相手を増やすことにより、非課税で贈与できる金額も増えることになります。

 

贈与税の基礎控除を活用して暦年贈与する際の注意点

110万円の贈与税の基礎控除を活用して暦年贈与により財産を移転する場合には、次のような点に注意しておきましょう。

・贈与契約書を作成

贈与契約は贈与をする側とされる側の合意があればそれだけで成立します。しかし、契約書がなければ、贈与により財産を移転したことを証明するものがないことになります。暦年贈与するなら、贈与契約書を作成しておきましょう。

贈与契約書には、贈与する側とされる側がそれぞれ署名押印し、日付も記載しておきます。万全を期すなら、贈与契約書を公証役場へ持って行き、確定日付の付与を受けておくとよいでしょう。確定日付があれば、その契約書がその日に存在していたことの証明になります。

・110万円を超える贈与をして贈与税の申告をする

110万円を超える贈与を受けた場合には、贈与税の申告・納付が必要になります。110万円を少し超える贈与をし、贈与税の申告書を作成しておけば、贈与があったことの明確な証明になります。

たとえば、基礎控除後の贈与額が200万円以下の場合、贈与税の税率は10%です。115万円を贈与した場合には、基礎控除の110万円を差し引いた5万円に10%をかけた5000円が贈与税額になりますから、5000円払うだけで贈与の証拠を残すことができます。

・連年贈与とみなされないよう工夫が必要

毎年100万円を10年間贈与した場合、それぞれの年の贈与額は基礎控除額以下ですから、非課税になります。しかし、贈与する人とされる人との間で、100万円を10年間にわたって贈与することが約束されていた場合には、1000万円を分割して「連年贈与」したものとみなされ、課税対象となってしまいます。連年贈与にならないよう、贈与する金額や贈与する日は、毎年変えると安心です。

 

相続税対策のために暦年贈与を行う際のポイント

・できるだけ長い期間継続して贈与する

1年あたりは少額でも、何年もかけて贈与を行うことにより、相続税の負担を軽減できます。もし多額の資産を持っているなら、できるだけ早い時期から暦年贈与を開始するのがおすすめです。

・世代飛ばし贈与をすると効果的

相続開始前3年以内の子への贈与は相続税の課税価格に加算されますが、孫への贈与は、孫が相続や遺贈で財産を取得していない限り、生前贈与加算の対象となりません。節税のために暦年贈与するなら、子よりも孫に贈与する方が効果的です。

相続では通常、親から子へ、子から孫へと財産が承継され、その都度相続税がかかります。世代飛ばし贈与を行えば、トータルでかかる相続税の負担を大きく軽減できます。

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