遺言 2018.01.14

遺言書にはどんな印鑑を押してもいい?遺言の押印に関する基礎知識

遺言書を書いたら、確かに自分が書いたものであることがわかるよう、印鑑を押印します。遺言の押印については法律上も規定があり、間違えないように正しく押印しなければ、遺言が無効になってしまうことがあります。ここでは、遺言の押印に関する基礎知識や注意点について説明します。

記事ライター:ゆらこ行政書士

自筆証書遺言は押印がなければ無効

・自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、遺言の全文を手書きして作成する遺言です。思いついたときにすぐに作成でき、遺言を書いたことを秘密にもできるので、遺言を書くなら自筆証書遺言にしたいと考える人は多いと思います。

自筆証書遺言を作成するときには、法律で定められている形式的要件を満たしていなければ無効になってしまいます。自筆証書遺言の要件は、次のようになっています。

(1) 全文を自書する

(2) 日付を自書する

(3) 氏名を自書する

(4) 押印する

・自筆証書遺言には押印が必須

自筆証書遺言を作成するときには、全文、日付、氏名を自書するだけでなく、押印も不可欠です。印鑑は、氏名を自書した後に続けて押します。なお、氏名と押印の位置は遺言の末尾でなくてもかまいません。

自筆証書遺言の押印は実印でなくてもかまいませんが、実印を使うことで本人が自分の意思で作成した証明になり、偽造を疑われるようなことがなくなります。自筆証書遺言には、できれば実印を押印して印鑑証明書を添付するのが安心です。

・訂正する場合には訂正印も必要

自筆証書遺言は自分で手書きするため、書き間違えてしまうこともあると思います。自筆証書遺言では修正の仕方にも決まりがあり、具体的には次のようになっています。

(1) 修正・変更する箇所を指示

(2) 変更した旨を付記

(3) (2)の付記について署名

(4) 実際の変更を加える

(5) 変更の箇所に押印

上記のとおり、自筆証書遺言では、修正するときにも押印が必要になります。訂正に使う印鑑は、遺言書に使うのと同一の印鑑でなければなりません。遺言書に実印を使う場合には、訂正印も実印にする必要があります。

・複数枚にわたるなら割印も押しておいた方がいい

自筆証書遺言が複数枚にわたるとき、割印(契印)が必要という法律上の規定はありません。割印の有無にかかわらず、遺言が1つの封筒に入っていれば、同一の遺言とみなされます。しかし、遺言が複数枚にわたるときには偽造や変造がしやすくなりますから、割印を押しておいた方が安心です。

 

自筆証書遺言で問題になる押印

・三文判やスタンプ式の印鑑は避ける

自筆証書遺言の押印は認印でもかまいません。大量生産で出回っている三文判で押印しても無効ではありませんが、誰でも簡単に入手できる印鑑で押印すると信頼性が低くなってしまいます。また、シャチハタと呼ばれるスタンプ式の印鑑は、朱肉ではなくインクなので消える可能性があります。遺言に三文判やシャチハタで押印するのは避けた方がよいでしょう。

・判例上は拇印も有効

自筆証書遺言に拇印で押印してもかまわないかについて、判例上は拇印でも有効とされています。しかし、遺言者の死後、拇印が本人のものかどうかで争いになることも考えられます。遺言の押印には、よほどの事情がない限り、拇印は避けるべきでしょう。

・花押は押印ではない

花押とは署名の代わりに使われることがある記号や符号で、昔の武将がサインとして使っていたものです。花押については、自筆証書遺言の押印とはならないという判例があります。花押を押印しても無効ですから注意しておきましょう。

 

公正証書遺言の押印はどうなっている?

・公正証書遺言とは

公正証書遺言は、公証人が法律で定められた方式に従って作成する遺言です。形式的に無効になるようなこともなく、原本が公証役場で保管されるので紛失のおそれもありません。自筆証書遺言だと不安な場合には、公証人に依頼して公正証書遺言にしておくとよいでしょう。

・公正証書遺言の作成方法

公正証書遺言を作成するには、証人2人以上の立ち会いが必要です。法律上の作成の手順としては、まず、遺言者は遺言の趣旨を公証人に口授します。公証人は遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させます。遺言者及び証人は筆記が正確なことを承認した後、各自これに署名し、押印します。公証人は、遺言書が方式に従って作られた旨を付記し、これに押印します。

・公正証書遺言に押印する遺言者の印鑑

公正証書遺言作成時にも、遺言者は遺言書に押印する必要があります。この場合の印鑑については、実印でなければならない旨の規定があるわけではありません。ただし、公証役場においては、遺言者については本人確認のために印鑑証明書の提出を求められることが多くなっています。この場合、遺言者は遺言書にも実印を押印する必要があります。なお、証人については、認印でよいとされています。

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