贈与・生前贈与 2017.11.07
贈与税の節税ができる3つの方法
財産を贈与した場合、受け取った側に贈与税がかかることがあります。贈与を行うなら、贈与税を節税できる方法で行うのがおすすめです。ここでは、贈与税の節税のためによく使われる3つの方法をご紹介します。
その1 基礎控除の範囲内で贈与して贈与税を節税
贈与額が基礎控除額以下なら贈与税はかからない
贈与税を節税する最も基本的な方法は、贈与額を基礎控除の範囲内におさめるということです。贈与税を計算するときには、1年間に贈与を受けた財産の額から110万円という基礎控除額を差し引いた額に対して税率をかけます。つまり、贈与を受けた財産の額が110万円以下であれば、贈与税はかからないことになります。
財産を分割して贈与すれば贈与税を節税できる
贈与額が年間110万円を超えると、贈与税がかかってしまいます。財産を持っている人にとっては、110万円という額はそれほど大きくないので、非課税で財産を贈与するのは難しいと思うかもしれません。
しかし、110万円の基礎控除は毎年使うことができます。たとえば、1年あたり100万円の贈与なら贈与税はかかりませんが、これを10年間継続すれば、1000万円の財産を無税で移すことが可能になります。このように、複数年にわたって贈与を行うことで、非課税で贈与できる額を増やすことができ、贈与税の節税対策になります。
一連の贈与とみなされないような対策が必要
110万円の基礎控除枠を活用し、複数年にわたって財産を移転させる場合に、その贈与が一連の贈与とみなされてしまうと、課税されることがあります。たとえば、毎年同時期にきっちり100万円の贈与を10年間続けた場合、最初から1000万円を贈与するつもりだったとみなされ、1000万円の贈与に対応する贈与税を課されてしまう可能性があります。
複数年にわたって贈与を行う場合、それぞれが別個の贈与であることを証明できるよう、贈与契約書を作っておくのが安心です。また、敢えて110万円を少し超える額を贈与し、贈与税の申告をしておくと、税金逃れではないことの証明になり、結果的に贈与税の節税にもつながります。
配偶者控除を利用して贈与税を節税
配偶者控除とは
配偶者に財産を贈与する場合、配偶者控除が利用できれば贈与税の節税ができます。配偶者控除とは、配偶者から居住用不動産またはその取得のための資金を贈与された場合、基礎控除額110万円のほかに、最高2000万円までを控除できるという特例になります。
配偶者控除の適用要件
配偶者控除が適用になるのは、次の要件をみたしている場合になります。
婚姻期間が20年以上の夫婦であること
婚姻届を出した日から贈与の日までに20年以上の期間が必要です。事実婚や内縁関係の夫婦は適用外となります。
贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること
居住用不動産には、土地、借地権、家屋が含まれます。土地のみ、家屋のみの贈与も対象となります。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
翌年に現実に住んでいることが条件になります。不動産の購入時期は未定で購入資金だけ先に贈与したとしても、配偶者控除は使えません。
特例を活用して贈与税を節税
子や孫に金銭を贈与する場合、住宅取得資金や結婚資金などに充てるという目的がはっきりしていれば、贈与税の非課税特例を利用することにより、贈与税の節税ができる場合があります。贈与税の非課税特例には、以下のようなものがあります。
(1) 住宅取得等資金贈与の非課税特例
父母や祖父母などの直系尊属から、自己の居住のための住宅の新築・取得・増改築のための金銭の贈与を受けた場合に、一定金額まで贈与税が非課税となる制度です。
非課税限度額は契約締結時期や住宅の種類によって変わりますが、平成28年1月1日から平成32年3月31日までの期間では、消費税率が10%である場合を除き、省エネ等の基準をみたした住宅が1200万円、それ以外の住宅が700万円となっています。
(2) 教育資金の一括贈与の非課税特例
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合に、最大1500万円まで贈与税が非課税になる制度です。金融機関に受贈者名義の専用口座を開設する必要があり、30歳になった時点で専用口座に残っている額には贈与税が課される扱いになります。
(3) 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合に、1000万円まで非課税になる制度です。金融機関に受贈者名義の専用口座開設が必要で、50歳になった時点で専用口座に残っている額には贈与税が課税されます。
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