贈与・生前贈与 2017.10.26

遺産は生前に贈与した方がいい?

亡くなったときにある程度の遺産がある人は、相続対策を考えることがあると思います。財産は、亡くなったときに遺産として残すよりも、生前に贈与しておいた方がメリットになることがあります。ここでは、遺産を生前に贈与するメリットや注意点について説明します。

記事ライター:ゆらこ行政書士

遺産を生前に贈与すれば相続税対策になる

・相続税は相続発生時の所有財産に対してかかる

平成27年に税制が改正され、相続税の基礎控除額が引き下げられました。これにより、従来の制度では相続税がかからなかった人も、相続税の課税対象になるケースがあります。ある程度遺産がある人は、自分が亡くなったときの相続税について留意しておいた方が良いでしょう。

・遺産は生前贈与により減らすことができる

相続税の税率は、遺産の額が多くなるほど高くなるため、相続税対策のためには遺産を減らしておくのが有効です。遺産を減らす方法として考えられるのは、生前贈与になります。遺産を生前贈与すれば、亡くなった時点での所有している財産が減ることになりますから、相続税の負担が軽くなります。

 

遺産を生前に贈与する際の注意点

・遺産の生前贈与には贈与税がかかる

相続税は遺産に対してかかりますから、全財産を生前に贈与してしまえば、相続税の負担はゼロになります。しかし、生前贈与による課税逃れができないように、贈与の際には贈与税が課税されることになっています。贈与税は、相続税より原則的に税率等の負担が重くなっているため、何も考えずに生前贈与を行うと、かえって支払う税金が多くなってしまいます。

・基礎控除の範囲内なら贈与税はかからない

贈与税には110万円の基礎控除があり、年間で110万円以内の贈与には贈与税がかかりません。生前贈与を行うときには、110万円の基礎控除枠を有効活用するのがおすすめです。財産を一度に移転させるのではなく、生前贈与により少しずつ移転させるようにすれば、贈与税の負担を抑えながら遺産を減らすことが可能になります。

・生前贈与にも相続税が課税されることがある

遺産を生前贈与すれば、必ずその財産を相続税の課税対象から外すことができるわけではありません。相続開始前3年以内に相続人を相手に行った生前贈与は、相続財産に加算され、相続税の課税対象となる扱いになっています。この場合、贈与税の基礎控除額以下の贈与についても遺産の額に加算されますから、生前贈与がなかったことになってしまいます。

遺産を生前贈与によって減らしたい場合、相続が近づいてから慌てて贈与しても効果がないことがあります。生前贈与は、何年も前から時間をかけて実行するのが確実です。年数をかけて暦年贈与を行うことにより、毎年の贈与税を非課税にしながら、多くの財産を移転することが可能になります。

 

遺産を生前に贈与するなら贈与契約書を作成

・贈与契約書の必要性

所有している財産を遺産として残す場合には、何もしなくても、相続開始と同時に財産の所有権が自動的に相続人に移転することになります。ただし、民法上の法定相続人に法定相続分どおり相続させたくない場合には、遺言により遺産の相続方法を指定しておく必要があります。

一方、生前贈与には、何もしなければ贈与を行ったことの証拠が残らないという問題があります。贈与契約自体は、書面がなくても、贈与する人と贈与を受ける人の意思の合致により成立します。しかし、贈与契約書を作っておかなければ、当事者は生前贈与があったことを主張できなくなってしまいます。そのため、遺産を生前に贈与する場合には、贈与契約書を作成しておく必要性が高いといえます。

・贈与契約書は課税の場面でも意味を持つ

贈与契約書があれば、贈与税リスクを抑えることもできます。たとえば、毎年110万円を10年間継続して贈与した場合、毎年の贈与は基礎控除の範囲内におさまっていますが、1100万円を10回に分けて贈与したのではないかと税務署に判断され、課税されてしまう可能性があります。このような場合に、毎年の贈与がそれぞれ別個の贈与である旨を明らかにした贈与契約書を作成しておけば、課税されずにすむことがあります。

・贈与契約書を作成する際の注意点

贈与契約書を作成するときには、当事者の氏名、贈与の日時、贈与の方法、贈与の目的物を明確に記載しておきましょう。贈与の目的物についてはきちんと特定できなければなりません。不動産の場合には登記事項証明書のとおり正確に記載するようにしましょう。

贈与契約書の署名や押印に明確な決まりはありませんが、自筆で署名し、押印しておくのが安心です。印鑑は実印でも認印でもかまいませんが、実印を使うと、本人が間違いなく自分の意思で押したという証明力が強くなります。

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