贈与・生前贈与 2018.03.15
生前贈与とはそもそも何?メリットとリスクも解説
遺産相続において発生する相続税は、様々な節税方法があります。財産の評価額を下げておくことや、税額軽減特例措置を利用することなどです。被相続人が自分の財産を自分の望む通りに分配できる「生前贈与」という制度は、相続税節税対策としても有効です。
ここでは、生前贈与とは何か、生前贈与とはどのようなメリットやリスクを含んでいるかを解説していきます。
生前贈与とは何か
生前贈与とは、遺産相続で被相続人となる人が、自分の存命中に指定した相手に対して財産を贈ることを言います。
生前贈与とは、自分が生きていて財産をコントロールできるうちに、自分の意思のままに財産を分配したい場合によく用いられる方法です。生前贈与とは、生前から少しずつ財産を減らしておくことで、遺産相続の際の相続税額を抑える効果も生みます。
生前贈与とは、財産を贈る側の人を贈与者、財産をもらう側の人を受贈者とすることで成り立っています。
受贈者にとって生前贈与とはありがたい制度ですが、生前贈与とは贈与者と受贈者の間の合意があって初めて成立するものです。一方的な贈与であって受贈者の合意がない生前贈与は、無効とされてしまいます。
生前贈与とはどのように行えるか?具体例を紹介
生前贈与とはどのように活用できるのか、具体的な例を2つご紹介します。
暦年課税を利用した生前贈与
暦年課税を利用した生前贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間、受贈者1人当たり110万円までの生前贈与については贈与税を課さない、というものです。この金額の枠内で少しずつ生前贈与することで、大幅な節税が可能になります。
ただし、贈与者の死亡から3年以内の贈与分は無効となり、相続財産の一部とされてしまいます。ですから暦年課税を利用した生前贈与とは、できるだけ早いうちから計画的に行うことが最善です。
生命保険金の贈与
相続税対策として、生命保険金の非課税限度額の活用という方法もあります。遺産ではなく生命保険金として遺すことで、相続人1人当たり500万円の非課税枠が利用できます。
この場合、被相続人となる親を被保険者とし、相続人となる子どもが契約者になって保険料を支払うことで、被相続人の死亡後に子どもが保険金を受け取ることができます。もし子どもに保険料を払う余裕がない場合は、保険料を生前贈与することも可能です。
しかし、1年に110万円を超える贈与になってしまう場合は、子どもが贈与税を支払う必要があります。
生前贈与とはどのようなメリットがあるか
生前贈与とはどのようなメリットを持っているのか、2つの点を説明します。
1.相続税・贈与税の節税効果
生前贈与とは、活用の仕方によっては相続税や贈与税を節税できるものです。遺産相続開始から3年以内の生前贈与は相続財産に加えられてしまう場合があるので、早めに始めることが効果的な生前贈与のコツです。
2.現役世代への財産の移行
被相続人の子どもや孫といった、現役世代へ生前贈与で財産が速やかに移ることで、生活の色々な面でお金を必要とする人達が、財産を得ることができます。
生前贈与とはどのようなリスクがあるか
生前贈与とは、少しのデメリット・リスクも持ち合わせています。主なものを3つご紹介します。
税法改正などの変化
前述の通り生前贈与とは、相続税や贈与税の節税にとても効果的な方法です。しかし、生前贈与とは、相続税法や民法などの改正や特例制度の廃止など、予期せぬ事態の影響を受ける可能性もあります。
それによって生前贈与に関する規制が厳しくなり、節税になるどころか税額が増す可能性もないとは言い切れません。対策としては、色々な方法の生前贈与を組み合わせて実施するなどすれば、ある程度のリスク分散ができるでしょう。
生前贈与を巡る遺族間のトラブル
生前贈与とは多くの場合、受贈者にとっては嬉しいことです。しかし家族内の一部の人、または家族外の人にばかり生前贈与をしていると、遺産相続で相続人となる遺族の間にトラブルを招きかねません。
生前贈与とは、相続人の不公平感を生まないよう注意深く検討すべきことでもあります。
相続税納税資金の確保が必要
生前贈与をしていても保有している財産の額が大きい場合、遺産相続では相続税が課される場合があります。
生前贈与で財産を減らし過ぎてしまうと、相続税を支払う段階になって納税のための資金がないという事態も起こり得ます。あらかじめ相続税がかかるかどうかを計算しておき、納税資金は手元に残しておくこともできるでしょう。
まとめ
生前贈与とは、被相続人になる人が自分の財産を任意の仕方で分配できる制度です。ただし、生前贈与とは、間違った方法で行うと贈与税を発生させます。色々な形の生前贈与を行って、リスクを抑えた方法ですすめましょう。
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